【大阪杯】ダービー馬キズナ始動戦完勝

 「大阪杯・G2」(6日、阪神)

 ダービー馬が貫禄を見せつけた。4歳3強が激突した注目の一戦を制したのは、2番人気のキズナだった。最後方追走から直線で強烈な末脚を披露。14年の始動戦をVで飾り、次戦の天皇賞・春(5月4日・京都)、そして秋に控える大目標の凱旋門賞・仏G1(10月5日・ロンシャン)へ向けて弾みをつけた。6番人気トウカイパラダイスが先行策から粘り込み、2着に奮闘。1番人気のエピファネイアは伸び切れず3着、3番人気のメイショウマンボは見せ場なく7着に敗れた。

 花冷えする仁川で、ダービー馬の誇りと、菊花賞馬の意地がぶつかり合う。最大の見せ場は、ラスト300メートル地点。先に動いたエピファネイアの外から、キズナが並び掛けると、場内のボルテージは最高潮に達した。

 ただ、馬体が重なったのは一瞬。武豊の右ムチが1発飛ぶと同時に勝負は決した。最大のライバルを退け、粘り込みを図るトウカイパラダイスを楽々とのみ込む。キズナが14年の始動戦を完勝で飾ってみせた。

 「いいレースができましたね。キズナらしい、本当に素晴らしい末脚でした。今年大きな仕事をともにやっていきたいと思っているし、まずは初戦をいい形でスタートできました」。武豊は誇らしげに胸を張った。

 「ワンアップどころか、ツーパワーアップ」と佐々木師がうなずいたように体重はダービー制覇時に比べて20キロ増となる498キロに。迫力満点の馬体が繰り出すフットワークは重厚さが増していた。追い切りで感触を確かめていた名手は「何で2番人気だったのかな。僕は自信がありました」と1番人気をエピファネイアに譲ったことに首をかしげたほど。4着に奮闘した凱旋門賞から半年。進化した姿で帰ってきた。

 オルフェーヴルの引退で、現役最強馬の後継争いは混迷。ドバイでジャスタウェイ、ジェンティルドンナが日の丸をはためかせ、国内ではゴールドシップにウインバリアシオンが始動戦を圧勝した。それでも同世代のライバルを退けたこの日の完勝劇で、この馬が主役として競馬界を引っ張っていくことは間違いないだろう。

 陣営にも、既にその覚悟は備わっている。「日本で一番強いと思っている。国内で負けるわけにはいかない」と佐々木師が話せば、武豊も「一般的に一番充実していると言われている時期。ダービー馬として課せられている期待に応えていきたい」と言い切った。

 次走の天皇賞・春も、もちろん落とせない一戦だ。全ては秋の凱旋門賞制覇に向けて。いよいよ幕が開けたキズナの第2章。待ち受ける未来は、きっと明るい。

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