広島のアキレス腱が徹底的に攻められた オール完全セーフの4盗塁 「今からでも対応策を」と岡義朗氏

 「DeNA7-4広島」(20日、横浜スタジアム)

 広島が敗れ、3位DeNAとの差が再び4ゲームに開いた。先発した大瀬良の乱調が誤算だったが、弱点を徹底的に攻められて4盗塁を献上。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「盗塁阻止はバッテリーの共同作業」語り、大事な順位争いを勝ち抜くために、弱点克服へ向けた対応策を求めた。

  ◇  ◇

 この試合は広島バッテリーで敗因を作ってしまったように思えた。

 先発した大瀬良は投球のテンポが悪く、勝負球も甘いから痛打されるシーンが目立ったね。サインが合わないせいか投球の“間”が長く、走者を気にして執拗に牽制するなど、終始リズムがよくなかった。

 こういう空気は野手に伝染しやすい。攻撃陣が中盤にかけて追い上げ態勢に入っていったが、今ひとつ乗り切れなかったようだ。もう1本、2本出ていれば展開が変わる可能性があっただけに悔やまれるね。

 (広島は二回、大瀬良が突然崩れ、6安打を浴びて5失点。試合の主導権をDeNAに渡した。三回に末包の犠飛、四回にも二俣の犠飛で加点。五回にはファビアンのソロアーチでじわじわ追い上げたが、残塁が多い試合展開となった)

 捕手の坂倉も徹底的に弱点をつかれて4盗塁を許した。特に厳しかったのは六回、桑原に決められた二盗だ。

 3番手でマウンドに上がった高橋のクイックは決して遅くないのだが、無死からあっさり決められた。その後、林以下に3連打。

 “また走られるかもしれない”というバッテリー間の不安は配球の偏りと制球ミスを呼び、重い追加失点につながったと言える。

 林に適時打されたあと一死一塁で佐野を打席に迎えた時もその2球目、林に走られている。ファウルだったが、DeNAはどんどん走ってきていた。

 走られたくない坂倉には焦りがあったのかも。佐野には3球目の直球を左前打されたが、配球に関して頭が回らなくなっていたように感じた。

 六回の2失点はチームとしてもこたえたはず。追い上げムードにあったから余計だった。

 今年のDeNAは走ることをテーマに掲げているだけに今後も積極的に仕掛けてくるだろう。この日は林、梶原、京田、桑原で4つ。

 カープの弱点である盗塁阻止率の低さにつけ込んでの徹底した攻撃が完全にハマった感じだった。広島にとっては最も嫌な攻められ方をされてしまった。

 (この試合が始まる前の8月19日現在でセ・リーグの主な捕手の盗塁阻止率は次のとおり)

ヤクルト・古賀(・469)

中日・石伊(・421)

DeNA・山本(・318)

阪神・坂本(・310)

巨人・甲斐(・243)

広島・坂倉(・203)

ヤクルト・中村悠(・100)

 当然ではあるが、走者が一塁と二塁では投手が受けるプレッシャーは全然違う。一気にピンチが広がり、勝敗を左右する局面に変わってしまう。

 もちろん盗塁を阻止するには捕手に限らず、クイックモーションなど、投手の役割も大事。つまりバッテリーの共同作業が不可欠ということだ。

 順位は決まっていないし、まだ30試合以上残っている。その先にはCSの出場権もかかる。今からでも相応の対応策が求められるのではないか。

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