広島・鈴木 進化した赤いサブマリン プレート位置変えたら奪三振率7・15に上昇 再昇格へ「準備したい」
広島の鈴木健矢投手(27)がファームで結果を残し続けている。先発、中継ぎを問わず、ここまで10試合に登板し、0勝0敗、防御率1・19をマーク(4日現在)。プレートの位置を変更するなど、赤いサブマリンが進化した姿で1軍再昇格を目指す。
灼熱(しゃくねつ)の由宇球場で爽やかに汗を流す鈴木の表情には、充実感が漂っていた。現役ドラフトで日本ハムから加入し、広島で過ごす初めての夏。「暑いですね」と苦笑いを浮かべながらも、「内容のいい登板が続いているので、状態的にもすごくいいのかなと思います」と手応えをにじませた。
開幕1軍入りを果たしたサブマリンは5月5日・ヤクルト戦(神宮)では2番手として登板し、2回2安打無失点の好投で移籍後初勝利をマーク。同15日の巨人戦(マツダ)でも救援で1回無失点に抑えて2勝目を挙げたが、以降は制球に苦しむ場面も見られ、同31日に出場選手登録を抹消された。
再び1軍のマウンドを目指す中、突然の“思いつき”が状況を大きく変えた。6月15日のウエスタン・くふうハヤテ戦(由宇)でのこと。この試合からプレートを踏む位置を三塁側から一塁側に変え、4回1失点と好投した。最初は「こっちのほうがいいんじゃない」という遊び心から挑戦した変更だったが、これがハマった。
これまでは左打者の内角に対して、角度をつけるために三塁側を踏んでいたが、精密に投げ込むのは至難の業。「角度をつけすぎていた」と振り返るように制球を意識するあまり、球速も抑え気味だったという。
一塁側に変更することで、リリースの位置がプレートの真ん中付近へ。角度は失われたが、左打者に加え、右打者への内角も使えるようになり、投球の幅が広がった。また、スライダーの軌道にも変化が生まれた。角度がない分、曲げようという意識が薄れ、より浮き上がるような軌道に。アンダースロー特有の“ライジングスライダー”に磨きがかかり、1軍で4・11だった奪三振率は7・15まで上昇した。
1日のウエスタン・ソフトバンク戦(由宇)では約1カ月半ぶりに先発し、4回無安打無失点と完璧な投球を披露。貴重な“便利屋”としてアピールを続けている。「しっかり抑えていれば必ずチャンスをもらえると信じている。どこで呼ばれてもいいように準備したいです」と鈴木。進化を続けるサブマリンが、再昇格を虎視眈々(たんたん)と狙っている。
◇鈴木 健矢(すずき・けんや)1997年12月11日生まれ。27歳。千葉県出身。176センチ、80キロ。右投げ左打ち。投手。木更津総合高、JX-ENEOSを経て、19年度ドラフト4位で日本ハムに入団。22年にサイドスローからアンダースローに転向し、23年は6勝をマークした。昨年12月の現役ドラフトで広島に移籍。1軍通算成績は96試合に登板し、11勝8敗0セーブ(6日現在)。





