プロ初登板初先発で初勝利の広島・佐藤柳 人一倍の負けん気が富士大の躍進導いた 安田監督が明かす秘話 大一番こそ力発揮
「中日1-2広島」(29日、バンテリンドーム)
広島のドラフト2位・佐藤柳之介投手(22)=富士大=がプロ初登板初先発で6回を2安打無失点に抑え、初勝利を挙げた。持ち味である伸びのある直球と変化球を低めに集め、中日打線に的を絞らせなかった。富士大時代に佐藤柳を指導した同大学の安田慎太郎監督(40)が、大学時代の秘話を語った。投手らしい負けん気の強さは人一倍。それを象徴するエピソードを振り返りつつ、全国の舞台で見せつけた、ある好投がチーム全体の潮目を変えたと明かした。
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ともに過ごした時間で思い出されるのは、佐藤柳の負けん気の強さ。「けっこう強烈です。交代と言っても首を縦に振らない。マウンドで『交代しません、まだ行けるんで』みたいなことを毎回、言うんです。面白かったですよ。予定調和にならないので」と安田監督は笑う。加えて「大一番になればなるほど、力を発揮するところがある」と語った。
富士大は8強入りした2013年の全日本大学野球選手権以降、全国で2勝できない状況が続いた。初戦に勝っても次戦で関東の強豪相手に力負け。そんな中で迎えた23年の同大会で、佐藤柳は初戦の創価大戦に四回から救援登板。6回無失点で勝利に貢献すると、チームは14年ぶりの4強入りを果たし躍進した。
安田監督は断言した。「富士大が変わっていった、きっかけの試合を作ったのは佐藤です。あそこで佐藤が抑えなかったら今も全然、全国で勝てないチームだったと思うんですよ。富士大を変えてくれた選手ではありますよね。(大学に残したものは)かなり大きいと思います」。先発して試合途中に“代わりたくなかった男”が、大学野球部の進む道筋を変えた。
昨年、富士大はオリックス1位・麦谷、広島4位・渡辺ら6人の学生をプロに輩出した。「『6人行ったけど、全然活躍できないじゃん』だと価値も薄れてくる。やっぱりすごかったんだな、と言われるような成績を残し続けてほしいと思いますね」。第一線で奮闘する姿を思い描きながら、エールを送った。
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