広島が首位浮上!大躍進の原動力は…ミスをフォローし合えるチーム力と選手の成長 岡義朗氏の分析
「広島東洋カープ4-1東京ヤクルトスワローズ」(27日、マツダスタジアム)
広島がヤクルトを破り10連勝。貯金を14に増やし、阪神を抜いて単独首位に浮上した。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「ミスを全体でフォローし合う落ち着いた野球ができている」ことを上位躍進の理由に挙げた。
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広島のチーム力が上がったと感じる試合だった。ひとつのミスをその後のプレーでチームメートがフォローしていたところに、それを実感した。
五回は田中の失策で許した走者を床田が一塁への牽制球で殺し、八回無死一、二塁で失敗した上本の送りバント(捕邪飛)は代打・松山の左前打、堂林の中前2点適時打で帳消しにした。
慌てず冷静に。上位を争っているのは、こういう落ち着いた野球ができているからこそだろう。
初回の守りでは、二塁の前に高く弾んだゴロを捕球した上本が一塁へグラブトスを試みたが、高くそれた(記録は内野安打)。右手に持ち替えて送球してもアウトにできるタイミングだっただけに残念だったが、次のプレーで上本は落ち着いていた。
一、二塁間へ飛んだ武岡の打球に追いつき素早いプレーで二塁封殺。大事にいくなら一塁への送球だが、冷静に処理した。ここは自分の“ミス”を自分でカバーしたシーンだった。
先発した床田は7回1/3で1失点の好投だったが、甘いボールも多かった。牽制のサインも含めた会沢のリードも見逃せない。今はミスを全体でフォローし合う落ち着いた野球ができている。だから上位争いができているのだろう。
また選手個人の成長という点では、野間にそれを感じた。八回の貴重な追加点は先頭打者としての出塁がもたらしたものだ。
この打席、いきなり3ボールとなり、その後2球連続で野間はストライクを見送った。5球目は真ん中付近の甘い直球だったが我慢し、フルカントから左前打を放った。
好球必打なら5球目の甘い球に手を出すのもアリだが、彼はそれをしなかった。仮に手を出し凡打に倒れれば、ベンチの盛り上がりは失望に変わる。決断の難しい場面ではあった。
野間特有のデータがある。第1、第2ストライクでの打撃結果を2ストライク後の打率が上回っているというものだ。そこに技術の向上が見られ、自信につながっているのかもしれない。最近は追い込まれてもボールを引きつけ、コンパクトなスイングで打つことができている。
“出塁”という自分の役割に徹しきろうという姿勢は明確だった。だからフルカウントまで待った。結果が四球ではなくヒットだったことは、次打者秋山への四球の呼び水になったと言ってもいい。相手投手の警戒が増したからだ。
ベンチの考えと一致する野間の4打席目。貴重な追加点につながる意味深い1本だったと思う。




