広島・坂倉 2年連続2桁10号!不振脱出の兆し弾! 連敗4位転落も打線に光
「DeNA8-3広島」(19日、横浜スタジアム)
広島は相手を上回る13安打を記録しながら3得点に終わり、4位に転落した。2連敗で、DeNA戦は4連敗となった。敗戦の中、収穫は坂倉将吾捕手(24)の復調。四回に一時勝ち越しの10号ソロを放ち、2年連続の2桁本塁打とした。六回の中前打を含めて今月初のマルチ安打。ここから状態を上げていく。
自然と体が反応していた。力ではなく技で描いた放物線。坂倉は着地点を確信しながら駆け出し、三塁を蹴ると右手を高く突き上げた。「正直、どう打ったかあまり覚えていない…。うまいことは打てたのかな」と反射的に捉えた一撃と振り返った。苦しんでいた男を照らした光が、ファンのもどかしさを少しだけ和らげた。
同点に追いついた四回2死。フルカウントから、大貫のスプリットに鋭く腰を回転させた。完璧にすくい上げた打球は右翼ポール際への10号ソロ。「追い込まれていたので、三振だけはしないように」という意識が奏功し、一時勝ち越しのアーチでベンチを盛り上げた。
昨季の12本塁打に続き、これで2年連続の2桁本塁打。残り30試合。本塁打数で自己最多を更新するのは時間の問題と言えそうだ。ただ、本人に喜びはない。むしろ「全試合に出ていて、まだ10本。ホームラン打者ではないけど、という感じです」と自戒の念を強めた。
試合前時点で8月は打率・182。7月下旬には打率を3割に乗せていた中、2割8分台まで落ち込んでいた。「いろんなことをしながらですね。これがきっかけになれば」と必死の思いを言葉に乗せた。
迷いがあっても、足元を見つめることだけは忘れない。「ケガをしてしまえば全てがパーになってしまう。試合に出ている責任もある」。レギュラーとしての使命感が、自身を突き動かす原動力になっている。
六回は1死一塁で中前へ運んで、今月初のマルチ安打。河田監督代行は「本人も若干すっきりしたんじゃないかな」と今後に向けて背中を押した。チームは4位に転落したが、背番号31が示した復調の兆しはチームにとって明るい材料。瞬時に捉えたアーチを、上昇カーブへの合図にする。
野間や菊池涼、小園らが不在の中、負けられない戦いは続く。「僕一人というわけではない。若手は若手でしっかりやっていきたい」と坂倉。巻き返しはここから。実らなかった執念は、次の戦いで勝利につなげる。



