“魔の八回”に苦しむ広島 先発投手は「投球数に縛られないほうがいい」北別府氏

 広島が“魔の八回”に苦しんでいる。開幕から好調だった中継ぎ陣のヘバリが原因で、その筆頭が出場選手登録を抹消された中崎。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「中崎の復活が、今季のチームの命運を握っていると言っても過言ではない」と語り、早期復帰を望んだ。

 中崎は開幕当初とは違い、いいときと悪いときがハッキリし過ぎていたね。いいボールと悪いボール。もともとコントロールの悪くない投手なのに逆球も多かった。

 明らかに本来の調子ではないし、本人も“投げてみないと分からない”と不安を抱えながらマウンドに上がっていたのではないか。

 具体的に言うと、投球フォームにブレがあり、捕手が低めに構えているのに実際に投げる球は上ずっている。

 本人は一生懸命、いわゆる“タメ”と言われるものを作って低めに投げようとしているが、上体が先行し、腕が遅れて出てくるからボールが高めに浮く。フォームのバランスに問題があると思うね。

 球持ちがよくて、真上から投げ下ろすフォームなので、中崎の球は見た目よりも速く感じる。剛速球タイプではなく、キレで勝負するのが特長の投手だ。

 クローザーで活躍していたころはリリースポイントも一定していて、コースの間違いも少なく、打者の膝もとへボールが集まっていた。

 開幕したころは、以前のいいときに戻ってきたなと思っていたが、早い段階で調子を落としてしまったね。下半身がブレてくると制球が乱れる。

 フォームのバランスが悪いときは、走り込みや遠投などをみっちりやって修正する必要があるが、1軍ではそれができないからね。

 すでに2軍での再調整に入っているようだけど、ボロボロになって落ちるよりは、軽傷のうちにチェックしておいたほうがいい。

 長い距離を走り、長い距離を投げることで、体のキレとボールの回転を取り戻すことができる。今ならそれが可能だし短いブランクで合流できるはず。

 このところ中崎に限らず、中継ぎ陣全体に疲れが出てきているのか、終盤の失点が目立つね。とくに八回。先発投手の降板後に追いつかれたり逆転されたりするのは先発、リリーフ双方にショックが残るもの。

 これから先の長いシーズンを乗り切るためには、先発投手の交代時期を判断する材料として、投球数に縛られないほうがいいと私は思う。

 「100球」を目安にする時代ではあるが、中日戦で大瀬良が完封したように、チームがうまく回ってくれることは間違いないだろうからね。

 カープは大瀬良や九里、森下ら完投能力の高い投手が多いのだから、可能な限りリリーフ投手を休ませることも大事。

 完投を間に挟むことで疲労の見られた中崎を助けることにもなるのだから。中崎の復活が、今季のチームの命運を握っていると言っても過言ではないと思っている。

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