「広島紅白戦、白組５－４紅組」（９日、天福球場）

　広島ドラフト２位の宇草孔基外野手（２２）＝法大＝が９日、今キャンプ初の紅白戦に白組の「７番・右翼」で出場して“プロ初本塁打”。キャンプ中に取り入れたノーステップ打法でいきなり結果を残した。法大の先輩で、侍ジャパンの稲葉監督が見守る中での一発。開幕１軍へ視界良好だ。

　まばゆい輝きを放った。満点の青空の下、宇草が詰めかけた８０００人の鯉党をバットで魅了した。プロ初実戦となった紅白戦。力強いスイングから、ライナー性の打球で右翼ポール付近へ突き刺し“プロ初本塁打”を記録した。

　「しっかりと下半身を使ってスイングすることを意識しました。行ったなと思いました。うれしかったです」

　甘い球を見逃さなかった。０－４の二回２死一塁で迎えた初打席。カウント３－１から山口が投じた内角高めの真っすぐを振り抜いた。失投を見逃さなかった完璧な一打。拍手を浴びながらダイヤモンドを一周した。

　新人に熱視線を送ってきた佐々岡監督は「見事なホームランだった」と称賛。ちょうど視察に訪れていた法大の先輩である侍ジャパンの稲葉監督も「僕が来るときにホームランを打つなんて、なんか持っている感じ」と笑みを浮かべた。

　朝山打撃コーチから数日前に助言を受けて取り組み始めたノーステップ打法が実を結んだ。それまでの足を上げて打ちに行くフォームでは重心がかかと体重になり、力が伝わりきらなかった。「つま先に力がかかる意識を持ったまま、体重移動ができるようになるために」と朝山打撃コーチ。両足を地面につけてタイミングを取る打ち方を進言した。

　視察に訪れた中日の岩田スコアラーは「これからも注目していきたい。あの打球を見ると警戒しないといけないから」と今後も徹底観察していく方針を示した。

　宇草は「しっかりと力が伝わる」と新打法への手応えを口にし、朝山打撃コーチも「バットのヘッドが利いている」と効果を実感している。今後も継続して取り組み、持ち味であるパンチ力を生かせる形を追求していく。

　ただ、同点の六回１死一、三塁では遊ゴロに倒れた。「あの場面で決められなかったことは、まだまだ足りない。ああいう場面でつなげられるような選手になっていきたい」と反省も忘れない。開幕１軍へ。打力に磨きをかけ、さらなるレベルアップを図っていく。