薮田、マエケン超え243%アップ 敗戦処理からの大飛躍で3400万増
広島の薮田和樹投手(25)が30日、マツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、3400万増の4800万円でサインした。アップ率243%は、2008年の前田健(現ドジャース)の213%を超えた。来季は170イニング到達が目標。エースへの道を歩むシーズンとする。
自然と表情が緩んだ。会見の席上、薮田は何度も白い歯をこぼす。15勝3敗、防御率2・58でリーグ連覇に貢献し、自身初タイトルとなる最高勝率を獲得した。球団から受けた最大級の評価に感謝の言葉を並べた。
「昨年からは想像もできないくらいの金額だった。中継ぎから先発に回っての数字を評価してもらいました。いろんな経験をさせてもらい、充実した1年になったと思います」
開幕は中継ぎで迎えたものの、チーム事情で5月末から先発へ配置転換。8月12日の巨人戦(マツダ)では菅野に投げ勝ち、自身初の完封勝利を手にした。敗戦処理から勝ち頭へ。大きな飛躍を遂げたシーズンだった。
08年に前田健が1700万増の2500万円で更改。アップ率は213%だったが、薮田は3400万増の4800万円。アップ率はマエケンを超える243%だった。
来季を「勝負の1年」と捉える。継続して結果を残してこそ、投手陣の中心になれる。交渉役を務めた鈴木球団本部長からは「黒田や前田のように、長い回を投げられる選手になってほしい」と期待されたという。
「中継ぎや野手の人に助けられた」。勝ち星こそチーム一だったが、投球回はチーム4番目の129イニング。ブルペン陣の一角として開幕を迎えたことも一因だが、自身は納得していない。来季は毎試合7回以上をノルマに課し、規定投球回をクリアしての170回到達を目標に置く。
好不調の波を少なくするため、登板前のルーティンを確立させる。これまでは「何かに縛られるのが嫌だった」。転機は11月の侍ジャパンメンバーに選ばれたこと。DeNA・今永の登板前のルーティンを目の当たりにして考えを改めた。「安定した投球をするため必要と感じた」。黒田もマエケンも、それぞれルーティンがあった。決まった動作を行うことで精神面の乱れを防ぎ、力を出し切るのが狙いだ。
「みんなが安心する投球、1年間ローテを一度も外れず、投げ切る人がエースという印象です」。大黒柱へ-。薮田が決意を新たにした。