黒田 虎狩りで金本監督に“恩返し”

 広島の黒田博樹投手(41)が、9日の阪神戦(甲子園)に先発する。今季から指揮を執る金本知憲監督(48)は、元チームメートで「影響を受けた人」と言う特別な存在。昨季、阪神戦は負けなしの4勝で、甲子園では3戦3勝と抜群の相性だ。野球人として尊敬する先輩への恩返し星で、20年目にして初の自身開幕3戦3勝を狙う。

 静かに語り始めた黒田の口調は、次第に熱を帯びた。一人の野球人、男として尊敬の念を抱く。今季から阪神の指揮を執る金本監督は、2002年まで6年間共に戦った先輩。「若いころにすごく影響を受けた人」と表現する。特別な存在だ。

 「もう、本当に全てですよね。毎年、毎年、試合に出続けるというのは、並大抵のことじゃないですからね。本当にすごいことだと思っています」

 敵将という枠を越え、野手、投手の垣根を越えて、意識し続けてきた先輩だ。「野球に対する姿勢というのは、本当にすごく勉強になりましたね」。かつて打者目線から配球について、助言を請うたこともある。プロ20年の野球人生で、受けた影響は計り知れない。

 対戦は過去5年間。66打数22安打(・333)、3本塁打、9打点の数字が残る。立場を変えての“再戦”。「監督になられたので、また違う感じかもしれない」と言う。1番に高山、2番に横田と若い選手を起用。機動力を駆使する金本野球に「昨年とはメンバーも違う。どんどん走ってくる」と警戒した。

 ただ、黒田には絶対的なデータが存在する。昨年、阪神戦は負けなしの4勝。さらに甲子園で3戦3勝。防御率0・81と好相性を誇る。加えて今季は開幕から2戦2勝。2日の巨人戦(マツダ)では、日本で3226日ぶりの完封勝利を挙げた。前日6日にブルペン入りし、この日はキャッチボール、ダッシュなど軽めの調整。新幹線で神戸に向かった。

 「まずは試合を作ること。そこですね。その時、その時の調子でも変わってくる。その日のベストを尽くす投球ができるように。その結果、いい形になればいいと思います」

 自身開幕から3戦3勝なら、20年の現役生活で初めてとなる。日米通算200勝まであと「5勝」。節目の大台も刻一刻と近づく。「自分で工夫しながらですね。ベストを尽くしたい」。まだ衰えを見せぬ41歳。44歳まで現役を続け、鉄人と呼ばれた先輩の前で、黒田健在-を見せつける。

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