「ヤクルト０-４広島」（５日、神宮）

　ボテボテの打球には執念が乗り移っていた。０－０の九回１死一、三塁。広島の代打松山がヤクルト・バーネットから放った一塁へのゴロが、決勝点を導く野選を呼んだ。打点がつく一打となり「外野フライでもいいと思っていた。内容は良くないが、点が入ったので１００点です」と、笑顔を見せた。

　打席に向かう際、ベンチを出た緒方監督から耳打ちされた。「点が入りやすい状況だから楽に行け、と言われた。気持ちが楽になった」。集中力が高まり、内角のカットボールに詰まりながらも結果を残した。

　さらに１死満塁から、丸が詰まりながらも打球を左前に落とし、２者が生還。相手守護神をＫＯし「１点入っていたので楽に打席に入れた。形はどうあれ、点が入ったので良かった」と振り返った。

　ただ、再三の得点機を逃し、好投の黒田に白星を贈れなかったのは悔いが残る。丸は「もう少し早く点が取れていればベストだった」と振り返りつつ、気迫あふれる右腕の姿には「男気ですよね」と脱帽していた。

　首位阪神とは５・５差のまま。負けられない戦いは続く。それでも松山は「うちは残り試合が多いから有利だと思っている。一戦一戦を大事に戦う」と、ナインの思いを代弁した。九回の猛攻劇を、反攻のきっかけにしたい。