マエケン悪夢…けん制悪送球から痛打
「交流戦、西武4-2広島」(9日、西武ド)
広島・前田健太投手(27)が今季最多135球の熱投も実らず、八回途中4失点で5敗目を喫した。開幕からのクオリティー・スタート(6回以上を自責点3以内)は12試合目で途切れた。交流戦最後の6連戦は黒星スタート。打線もわずか4安打と沈黙し、借金は今季ワーストタイ「8」に逆戻りした。
力尽きた。次々に走者が生還する中、エースは腰に手をやり、天を見上げた。前田にとって痛恨の135球目だった。「甘く入ってしまったのはあります。もう少し厳しく?そうですね…」。八回1死満塁。秋山の外角に投じた146キロのツーシームが甘く内側に入った。そして捉えられた打球は、無情にも左翼線で弾んだ。
悔やまれるのは八回1死一塁の場面だ。「自分の失敗」という一塁けん制悪送球で二進を許した。自ら流れを手放し、安打と四球で満塁とされ、決勝打を浴びた。田中の失策、菊池の野選もあったが、7回1/3を11安打4失点では当然、納得できるはずもない。右腕は「今日は全く修正できなかった。どの球も使えない感じがあった。そういう日もあるんですけど」と、悔しがるしかなかった。
今季最多135球の粘投は実らなかった。開幕からのクオリティー・スタート(6回以上を自責点3以内)は、12試合目で途切れた。また、これでビジターでは昨年から9試合連続で勝ち星がない。
緒方監督は「前半は内角を使い切れずヒットを許し、内野のまずいプレーでも気を遣わせてしまった。最後のあのミス(けん制悪送球)が痛かった。八回まで抑えてほしかった。あと一踏ん張り、力を振り絞ってほしかった」と嘆いた。
借金は再び今季ワーストタイの「8」に膨らんだ。パ・リーグ上位の西武、ソフトバンクと対する6連戦。大瀬良を中継ぎに配置転換するなど、チームが正念場に位置づけた初戦を落とした。
前田は八回の守備を終えたナインをベンチ前で、笑顔で迎えた。「修正できる部分、できない部分があった」と自らへのダメ出しが止まらなかった右腕。だが、自らが掲げる今季のテーマ「心」に沿う姿勢は見せた。痛い黒星を糧にする。エースの心は、決して折れてはいない。
