マエケン5回0封で開幕万全!
「オープン戦、広島3-8オリックス」(14日、福山)
広島・前田健太投手(26)が先発し、万全の仕上がりを見せた。糸井、ブランコ、中島らほぼベストメンバーの強力打線に、封印してきたスライダーを解禁し、本番モードで5回2安打無失点。2年連続5度目の開幕投手が内定しているエースが、貫禄の投球で球場を沸かせた。
郷愁をくすぐる風、匂いが前田の背中を押した。福山市民球場で3度目の登板。沢村賞を獲得した2010年以来、5年ぶりのマウンドに「懐かしかった」と笑みがこぼれた。5回を2安打無失点。2年連続5度目の大役へ、エースは万全だ。
糸井、ブランコ、中島…。強打者が並ぶオリックス打線に、開幕想定の本番モードで挑んだ。初回、簡単に2死を奪うと、四球を挟んでブランコと対戦。1-2からの4球目、解禁した宝刀スライダーで、空振り三振に斬った。二回は1死からT-岡田を、内角低めの直球で見逃し三振に。まさに圧巻だった。
「相手打者に合わせた配球で、しっかり打ち取ることができた。いい打線、いい打者が多い中で、内容と結果をしっかり残せた」
5年ぶりの登板。だが、それ以上に思い出すのは、7年前のマウンドだ。08年3月15日、2年目の前田はここで、5回無失点の好投を見せた。「あの頃は生き残りを懸けていましたから」。相手はオリックス。ラロッカ、ローズ、カブレラの重量打線を抑え、エースへの階段を上った。「原点」の場所だった。
シーズン開幕を前に、帽子のつばに「心」と書いた。昨季は11勝9敗。勝ち越した一方で、大事な試合で勝ちきれなかった。「どんな状況に置かれても、心を乱さないように。うまくいく、と考えるように。心の動きを少なくしたい」。この日、強力打線相手でも動じなかった。進化を示した65球。今季は不動心でマウンドに立つ。
最速147キロの直球を軸に、三塁すら踏ませぬ快投だった。「いい状態。このままキープして、開幕を迎えられるようにしたい」と前田。13年ぶりの本拠地開幕を前に、次回は20日・ソフトバンク戦(ヤフオク)で、オープン戦最終登板に臨む。残り2週間。大きな自信と収穫を手に、エースが歩みを進める。
