東海大相模V 小笠原劇弾で悲願日本一

 「全国高校野球・決勝、東海大相模10-6仙台育英」(20日、甲子園)

 決勝が行われ、東海大相模が仙台育英に打ち勝ち、1970年以来45年ぶり2度目の優勝を飾った。阪神などが今秋ドラフト1位候補に挙げる小笠原慎之介投手(3年)が、6-6の九回に決勝の右越えソロ。投げては6失点ながら161球の熱投で完投し、悲願の日本一を勝ち取った。仙台育英は4点差を追いつく粘りも及ばず、東北勢初の甲子園優勝を逃した。

 混じり気のない100%の喜びが、体中を突き抜けた。右翼・豊田のグラブに収まるウイニングボールを見届けた小笠原は、両手を突き上げると天に向かって絶叫した。「うれしすぎて涙も出ない。最高です」。夏空のように、スカッとした笑みが満面に広がった。

 勝負を決めたのは、なんと自らのバットだった。6-6の九回。先頭で打席に入ると、初球の浮いたフォークを強振。打球はそのまま右中間席へ。耳をつんざく歓声の中、マウンドでは表情を変えない左腕がガッツポーズを繰り出した。

 「思い切り振っていこうと思っていた。『三振して帰ってくる』と言っていたんです」。高校通算3号は、自身もビックリの優勝弾。ベンチ前で門馬監督と初めてという抱擁を交わし「雨が降りますね。今日が最初で最後です」と、ちゃめっ気たっぷりに言った。

 本職の投球では苦しんだ。最大4点リードも、六回までに6失点して追いつかれた。しかし、心は折れなかった。最速149キロを計測した直球を頼りに、粘り抜いた。

 誓いを果たすためにやってきた。入学時、門馬監督から「お前と一緒に日本一を取るから」と声をかけられた。中学で日本一にもなった左腕は「どうせ自分が背番号1をつけるんだろう、とテングになっていた」。だが、同級生には吉田ら力のある選手がズラリ。名門のレベルに衝撃を受け、意識は変わった。

 1年冬には左足首を負傷し、2年春は左肘痛。今ではストレッチなどに人の倍以上の時間をかけてケアする。部屋は誰よりもきれいに整頓し、野球道具の手入れも毎日欠かさない。「高校野球をやって楽しいと思ったことがなかった」。“節制と徹底”が、強じんな心身をつくり上げた。

 最速152キロを誇り、胴上げ投手にも輝いた。進路については「これから決めていきたい。最終的にはプロ?それは変わらないです」と話すにとどめたが、プロ志望届の提出は確実だ。

 最上級生となり、寮の自室には3つの目標を貼った。「打倒横浜」、「日本一」、「日本一の『闘手』になる」-。マウンドで気持ちを前面に出し、誓いを果たしたエースは「今日は試合が終わってみたら楽しかった」と、17歳らしい顔で笑った。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス