前橋育英・高橋光、防御率ゼロ優勝王手

 「高校野球・準決勝、前橋育英4-1日大山形」(21日、甲子園)

 初出場の前橋育英(群馬)が日大山形を4‐1で下し、決勝に進出した。高橋光成投手(2年)が7安打1失点で完投勝利。今大会自責点0のまま、優勝に王手をかけた。延岡学園との決勝では91年の大阪桐蔭以来、戦後8校目となる初出場初優勝に挑む。

 ペットボトルの水をゴクリと音を立てて飲み終えると、高橋光は生き返ったとばかりに「ア~」と、息をついて笑った。酷暑の中、4度目の完投勝利を挙げた直後のインタビュールーム。「調子はあまりよくなかった。今日が一番きつかった」。大粒の汗を流して打ち明けた状態とは逆に、結果は1失点完投。そこに188センチ右腕のすごみが詰まっていた。

 初回から直球を連打されて1死満塁のピンチ。5番・吉岡にも直球を痛打されたが、高橋知の好守で二ゴロ併殺に切り抜けると、以降は修正能力の高さを見せた。スライダーやフォークを軸に打たせてとりつつ、キーマンに挙げた4番・奥村との対戦など、勝負どころではギアチェンジ。九回最後の104球目に、この日最速の142キロを記録。本調子でない中、きっちりまとめた。

 ツキも持っていた。六回先頭に二塁打を浴びた際、中継ミスで打者走者が三進。中堅手の失策が記録されたため、次打者の左犠飛で許した失点も自責点にはならなかった。自責ゼロの継続を試合後に知ると「マジっすか?自責1かと思った。ちょっとは意識したので」。にっこり笑って喜んだ。

 恵まれた体が、快投を支えている。群馬の山あいにある利根村(現沼田市)出身。夏は川遊び、冬はスキー。リンゴ畑の斜面を駆け回り、大自然の中で育った。清水陽介コーチ(36)は「クラスで一番、身体能力が高い。大きい子でバランスがいいのは珍しい」と話す。体育の授業では、走り高跳びで170センチをクリアするほど。素質が、高校入学後のトレーニングで一気に開花した。

 5試合41回を投げて、防御率は0・00のまま。頼れるエースに、荒井直樹監督(49)も「疲労はあると思うが、要所でふんばってくれた。連投もいけると思う」と、決勝の命運を託した。22年ぶりの初出場V、そして74年の金属バット導入後初となる防御率ゼロの優勝投手へ。「あと1勝、あと9イニング、全員で全力で取りにいきたい」。高橋光の右腕が、聖地に新たな伝説をつくる。

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