藤岡康太騎手が死去 落馬事故から約102時間、帰らぬ人に 35歳、G1・2勝、JRA通算800勝達成したばかり
JRAは11日、先週土曜の阪神競馬7Rでの落馬事故で入院していた藤岡康太騎手=栗東・フリー=が10日午後7時49分に死去したと発表した。35歳。JRA騎手の落馬による死亡事故は04年の竹本貴志騎手以来で20人目。G12勝を誇る人気ジョッキーのあまりに短過ぎる人生に、競馬界が悲しみに包まれた。
予期せぬアクシデントが命を奪った。6日の阪神7R。3コーナーで前の馬に触れ、つまずいて落馬。地面にたたきつけられ、後続馬に踏まれた藤岡康太騎手の体は全く動かなかった。搬送後は頭部、胸部の負傷と診断され、意識不明の状態が続いたが、意識は戻らず、事故から約102時間が経過した10日午後7時49分、静かに息を引き取った。
88年に藤岡健一調教師の次男として誕生した。小学生から箸も鉛筆も左手を使い、「ジョッキーになるから右も左も使えるようにならんとアカン」と同級生に力説した。早くから騎手を志し、3学年上の兄・佑介に続いて、その道を歩んだ。07年3月3日に初騎乗初勝利を達成。ジョーカプチーノとのコンビで09年ファルコンSで重賞初制覇を飾ると、同年のNHKマイルCでは10番人気で激走。20歳でG1初制覇を成し遂げた。
ただ、順風満帆にはいかなかった。翌10年に自然気胸を発症し、2度の手術。復帰したが、再発のため再手術となり、治療、療養を繰り返す日々も経験した。そのような困難も乗り越えて、勝ち鞍を積み重ねてきた。キャリアハイの年間63勝を挙げた昨年は、急きょの代打騎乗となったナミュールでマイルCSを制し、14年ぶりとなるG12勝目。今年も3月30日に区切りのJRA通算800勝を達成し、リーディング10位と、ファン、関係者から信頼される人気ジョッキーだった。
スマートながら、力強さも持ち合わせる騎乗スタイル。そして、ブーツの上にピンクのサポーターがまぶしく光る。「北海道から見守ってくれる2人がすぐに見つけられるように」。おじいちゃん子、おばあちゃん子として育った康太らしい気遣いと優しさだった。
昨年6月13日に長男が誕生。殊勲のVを決めたマイルCSのインタビュー後には「これから帰って、子どもをお風呂に入れます」と笑って競馬場を後にした子煩悩な新米パパ。やり残したことがあまりに多過ぎる。
レースの度に命のやりとりをする騎手にとって、避けられない不運な事故だった。命だけでも助かってほしい-。応援する周囲の祈りと願いに応えようと、生死の境で懸命に闘ったが、奇跡は起こらなかった。
◆藤岡康太(ふじおか・こうた) 1988年12月19日、滋賀県出身。父が健一調教師、兄が佑介騎手という競馬一家で育ち、2004年にJRA競馬学校入学。07年に栗東・宮徹厩舎からデビュー。同年3月3日の中京で初騎乗初勝利(ヤマニンプロローグ)。JRA通算1万759戦803勝。G12勝(09年NHKマイルC=ジョーカプチーノ、23年マイルCS=ナミュール)を含む重賞22勝。フェアプレー賞4回(10、12、17、19年)受賞。169センチ、50キロ。
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