2人から15人体制への変遷
【2月11日】
タイガースには現在トレーナー職のスタッフが15人いる。時代とともに球団の危機管理が高まるのは当然かもしれないが、藤川球児が剛腕を振っていた時代と比べれば随分増えた印象だ。
チームの衰勢を封じるためにもメンテナンスや強化、コンディショニングに不可欠な人材の整備は12球団とも躍起になるところ。しかし、何人体制であっても避けられない不慮のアクシデントはある。
阪神のキャンプ地でそんな不測の事態が連なってしまった。紅白戦で登板した伊藤将司と石井大智がともにアクシデントで降板。左膝付近に打球を受けた伊藤将は投手コーチ安藤優也に左肩を組まれ、痛々しい面持ちでベンチ奥へ。石井はバックホームのカバーに走った際に左ふくらはぎに痛みを発症した様子で、車いす姿で球場を出た。立ち見も出た宜野座のスタンドからは「がんばれ!」と励ましの拍手も起こっていたが、心配だ。キャンプ帯同のトレーナー陣も慌ただしく奮励していたが、こちらとしては検査結果、その公式発表を待つしかない。
侍ジャパンに選出される石井について虎将は「もし故障で行けなくなったとしたら『神様がやめとけ』と言ってくれてるということでしょう」と語った。「天の配剤」に喩えるところが一騎当千の球児ならでは。リーダーとして最悪想定など本来したいはずはないが、時計を巻き戻せない以上、起こってしまったものを整理する石井に寄り添うコメント。そう感じる。
球団幹部を取材する限り、阪神はWBC連覇に挑む侍ジャパンにトレーナーを一人派遣する。既に人選も済ませているが、これは阪神に限ったことではない。代表に選ばれた選手の所属チームはそれぞれ球団トレーナーを宮崎合宿から東京ラウンド、そして、勝ち進めば米国での決勝ラウンドまで帯同させる。日本代表公式のトレーナー陣も含め手厚い体制を整えるわけだが、更に個人トレーナーと契約する選手も複数いるなど、球界全体の危機管理はひと昔前とは比べものにならない。
「俺らの時代は1軍に一人、2軍に一人。トレーナーはチームに二人しかいなかった。だから若いうちは痛くても我慢してやるしかなかったんや」
紅白戦を見守った藤田平が僕の隣でそう言った。同じくこの日、宜野座に来訪した阪神OBの喜田剛は「僕らの頃も痛いと言えない時代。キャンプ中の練習試合で膝の靱帯を痛めたんですけど、我慢するしかなくて…」と述懐した。藤田は78歳。喜田は46歳。時代といえば時代か。それにしても、体が資本のアスリートにとっては、言葉を選ばなければ「むちゃくちゃな時代」が長く続いたということだ。
06年と09年にWBCに出場し、主力として優勝に貢献した球児は「2度とも内転筋を痛めた状態で行っていました」と振り返る。背番号22がいつも選手に「健康で…」と語るのは自身の経験則に基づく人生訓か。だとすれば、だからこそリスクコントロールに長ける組織作りに専心する。そんなリーダーに思える。=敬称略=
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