坂本誠志郎のセンターピン

 【10月17日】

 大阪府知事で日本維新の会代表の吉村洋文が情報番組で「ボウリング」用語を使っていた。「政治改革のセンターピンは議員定数の削減です」。政局で一躍時の人になった吉村の主張だ。

 自民党からの「連立政権」のオファーに絶対条件を突きつけ、それが受け入れられなければ「(連立入りは)ない」と言い切った。

 センターピンとはボウリングでストライクを取るために最も重要なヘッドピンをいうが、そこから派生して、成功のための「最重要ポイント」や「本質」を指してそう言ったりもする。

 なぜ、CSを制した夜に吉村の話題を書くのか。そりゃもちろん大阪府知事として晩秋のセンターピンが猛虎に絡んでくるからだ。連立協議で吉村は自民党総裁で大の虎党でもある高市早苗にフランクにこう告げたそうだ。

 「阪神タイガースの優勝パレードにご招待しますよ」-。

 さて、日本シリーズへ行く前に阪神野球のセンターピンをおさらいする。

ご存じ、それは指揮官の藤川球児が言う「凡事徹底」である。いろんな凡事があるけれど、個人的には盤石の投手陣を軸となって支えた坂本誠志郎のそれが気になっていた。

 実は開幕前に坂本に聞いていたことがあった。セ・リーグで最も駆け引きを楽しみにしている打者は誰か。坂本は「牧」と答え、「一泡吹かせたい」とも言った。当然これまではやられているイメージが強かったからである。

 夏場に左手親指の手術で長期離脱したハマの主砲だけど、CSに間に合わせてきた。どころか前夜は本塁打まで…。さすがとしか言いようがないが、実は今季の牧はセの対戦5球団で阪神戦の打率が最も低かった。坂本は牧に対して何か「徹底」したものがあったのか。凡事でも何でも…できれば知りたい。この夜は全てイニングの先頭打者で3度対戦し、無安打に抑えた。CSファイナルを制した直後、クラブハウスへ続く通路で聞いてみた。

 「それは言えないですね…(笑)」

 坂本はいたずらっぽく答えた。牧との対戦は来年も続いていく。種明かしはできないわけだ。坂本は言う。

 「例年駆け引きして打たれる…そう思いながら、今年は個人的にはその駆け引きを楽しみながらできたのは良かったのかなと思います。抑えたいとかいつもと違う結果を出してやりたいと思って考えてやるし、ピッチャーが投げる球の精度も影響してると思うんですけど、自分の中でこうやったら打ち取れるかなとか、色んなことを考えてやるのが、いつもは苦しかったのが、今年はすごく楽しく駆け引きして勝負できたなっていう感覚はありました」

 CSファイナルは「楽しむこと」。球児は戦前そう語っていたけれど、まさに坂本にとってのセンターピン、その真髄はそこにあるかもしれない。

 さて、11月22日に大阪での開催が決定しているVパレードを日本一パレードにするためにも、パの王者を倒さねば。凡事徹底の旅路は続く。頂上決戦楽しめればおもしろい。=敬称略=

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