毎日ダルビッシュが相手?
【7月9日】
カープ菊池涼介と会えば、彼はいつも爽やかに挨拶してくれる。こちらは爽やかに…といかないまでも元気に返すようにしているし、今回は「ナイスバッティング」とも付け加えた。
「ありがとうございます」
菊池はそう言ってうなずいていた。 前カード、巨人対広島戦(東京ドーム)の第3戦で彼は九回に大勢から逆転タイムリーを放って試合を決めた。僕としては「あれは価値が高いね」というニュアンスで声を掛けた。あの一打がなければカープは3位転落で広島へ帰らなければならなかった。
この日、カープベンチを取材すればこんな声を漏らす首脳もいた。
「昔でいえば、3日間ダルビッシュと対戦するようなものですよね。先発した投手の防御率を見ればね…」
山崎伊織、F・グリフィン、赤星優志。この3投手は防御率1点台かそれ以下。なるほど、そうか…。初戦=0-1。第2戦=0-0。第3戦=3-2。サッカーの試合か?というほどのロースコア。3連戦で両軍が放った本塁打は計2本だった。東京ドームといえば、その狭さゆえ本塁打量産の球場といわれてきたが、近年様相が変わってきた。例えば10年前と比べても1試合平均の本塁打数が明らかに減っている。同ドームにおける巨人主催試合の本塁打数は15年が64試合で90本(1試合平均1・41本)。昨年は64試合で72本(1試合平均1・13本)。今年はここまで1試合平均1・16本。両軍に本塁打が出なかった試合が38試合中15試合もある。「投高打低」を象徴するような数字かも?
カープ首脳は言う。
「防御率1点台がチームに何人もいる。野球が完全に変わりましたよね」
カープ目線でいえば、この阪神3連戦も試練が続く。虎の先発で2人(才木浩人、伊原陵人)は防御率1点台。大竹耕太郎は2点台前半だが、それ以前に通算1勝11敗の天敵だ。巨人、阪神との6番勝負は毎日ダルビッシュを相手にするようなもの?数字上そんな捉え方もできるというわけだ。
「ダルビッシュ?対戦するのは楽しみでしたけど、えげつなかったです。ランナーが出たらもう無理でした」
カープ打撃コーチの小窪哲也に現役時代の話を振ればそう語る。つまり、ダルが走者を背負ってギアチェンジすればノーチャンスだったというわけ。日本ハム時代のダルビッシュは3年目の07年から5年連続防御率1点台(全て規定投球回クリア)を記録して海を渡った。当時何度も取材したが、確かにえげつなかった。
じゃ、防御率1点台の難敵と対峙するときの対策は当時どうだったか?
「僕らの頃は今ほど細かいデータもなかったですし、この投手は凄いから甘いボールを逃さずしっかり打つように…みたいな感じでしたね」
じゃ、今は?もちろん小窪は言わない。きょう阪神の先発は防御率1・26の伊原。というか、そもそもチーム防御率が1点台の猛虎だ。セの灯を消さないためにも(?)無双の虎に新井貴浩はどう手を打つか。=敬称略=
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