人間行動の背景を知るべし
【6月26日】
脳腫瘍を患う旧友の話を交流戦中に書いた。SFT=孤立性線維性腫瘍という病を発症し、頭蓋骨を外す開頭手術を4度。右脚に麻痺が残り、言語障害が遺るその友人と再会した話だ。
「門別投手と湯浅投手を見たい」
そう話していた旧友の難病を球団の方に伝えると、厚意で席を準備してくださり、大変ありがたかった。
が、実はそんな話の裏側で個人的に残念なことがあった。その旧友の女性をアテンドした際に同業者とばったり会ったのだが、一部に「誤解」が流布されていた。ありがちなことだけど、回り回って僕に伝わってきたとき「はあ?」となった。globeのKEIKOと同じ「高次脳機能障害」を抱えながら生活している彼女はスマホすら制限がかかるのだが、外見はいたって健常。吉田が球場の周辺で見知らぬ女性と歩いていた…そんな話が一人歩きというわけだが、あのねぇ…。切り取っておもしろがる習性、やめなはれ。反応するのも面倒なんだけど、旧友の実情が実情だけに書いておく。
さて、きょうはここからが本題。
もし、あのとき脳腫瘍の彼女が車椅子だったら?それを見た同業者はおもしろがって流布しただろうか。パッと見で障害のある人だと分かれば、きっと吉田はその人物にとって「介助するいい人」に映ったかもしれない。
人間行動の背景には必ず何かしらの理由があるはずなのに誰しも他人の行動に対して「正解」「間違い」と勝手にジャッジしてしまうことがある。
自戒を込めて書くが、日々藤川阪神のコラムを執筆するにあたり、僕も気をつけなければならない。
「内情を知らないのに表面だけ見てああだこうだ書くことはしない」
これは、金本知憲が評論家活動を始める際に最初に僕に伝えたことだ。
「チームの中にいれば、マスコミに言えないことのほうが多いんよ。作戦面も選手起用もそうだし、選手個々のコンディションは監督やコーチしか知らないこともある。外から好き勝手に言うのは、俺は違うと思う」
何にも知らんとよう書くな…。そう言いたくなることもあったそうだ。
例えば、作戦面でうまくいかなかったことを内情も想像せず「間違いだった」と断じる。その背景にサインミスがあったことも知らずに…。数日後の取材で「実はあれは…」と判明することもあるが、試合直後に首脳や選手から作戦面が詳細に明かされることはない。藤川球児も指揮官としてこの種で苦笑していることがきっと…。いつも泰然自若で凜としているけれど、必ずあると思う。
さて、きょうからリーグ戦再開!パッと明るい話題で締めよう。
この日、湯浅京己がインスタのストーリーズで「アサイーボウル」を投稿していた。実はその店、僕も時間差で行った。店員さん、いつも感じいいんだよな…。難病を克服した湯浅が「好物」を愉しめるようになったことが嬉しい。彼がアサイーを「好き」になった理由?いや…背景を知らないので事後取材してまた書きたい。=敬称略=
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