同窓の先輩が馳せる思い
【4月27日】
八木中の先輩が伊原陵人のマウンドを眺めていた。トシが離れていても同窓というだけで親近感を…野球界でもよくあることだが、この人の場合、同じ投手として興味深く見守った。
「テイクバックが小さいですね。バッターがタイミングを取りづらい要因の一つかもしれません。高めのまっすぐもいい。けん制もクイックも◎」
阪神OBの久保康友である。
世代は大きく離れるが、奈良県橿原市立八木中学出身の先輩後輩の間柄。同じ橿原出身のDeNA監督・三浦大輔から「伊原という投手が阪神に入るぞ」と聞かされていたが、まともに投球を見るのはこの日が初めてという。
藤川球児と同じ44歳。欧州で現役を続ける久保だけど、現在は諸々の都合で西宮でトレーニングを続ける。縁あって家族ぐるみで付き合いのある彼にお願いして「伊原のストロング」を解説してもらった。
「中継ぎから先発になって力むのかなと思ったら、力むことなく、ゆったりと投げていますよね。気合が入ると投げ急いだりするものですが、ペースも精度も変わらず…。再現性、高いんでしょうね」
聞きたかったのは、ピンチで岡本和真を三振に斬った三回の局面だ。2ボール1ストライクから直球を3球続けたことに久保は「まっすぐに自信があるのがいいですよ。最後は投げミスかもしれませんけど、それでも空振りが取れるわけですから」と称えた。
レジェンド吉田義男の追悼試合でバックスクリーンの半旗がレフト方向へはためいた。しかも、バッタバッタと強烈に…。これは守っている野手にとっては厄介。そう思って見ていたら、伊原は6イニングで8つのフライアウト。二回のキャベッジの中飛は近本光司の背走キャッチにも助けられたが、持ち味を存分に発揮。久保は言った。
「これまでの投球を全て見ているわけではないので、ハッキリこうとは言えませんけど、フライアウトが多いのはまっすぐが予想より伸びてくるからでしょうね。岩崎もそうですよね」
九回のマウンドに上がったその岩崎優を記者席から眺めながら、吉田義男の言葉を思い出した。
「先発の投球回数をね、250イニングとか300イニング、20勝という時代じゃもうないからね。なんとかしてね、そういう意味での仕事を果たすね、抑えを複数ほしいですわな。それが若いピッチャーを育てるんですよ」
トシが離れていても同窓というだけで親近感を…。畏れ多くも立命大の大先輩、85年の日本一監督とサシでお話させてもらったことが一度ある。昨年の初夏に朝日放送の番組でご一緒する機会があり、黄金時代を築く条件を聞けば、「打」でも「守」でもなくそう話し、虎のブルペンを激励していた。
巨人盤石のリリーフ陣に終盤を締められた追悼試合である。それでも、遊撃手の後輩、木浪聖也がファイティングポーズを崩さず、様々な思いで立ち向かったその矜持に天国の背番号23は拍手を送っているかもしれない。=敬称略=
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