兎が虎馬だった?

 【4月6日】

 大山悠輔が開幕戦以来のタイムリーを打った瞬間、過去の記録を調べてみた。僕の知るこの半世紀において、阪神が優勝したシーズンは必ず阪神の主砲がシーズン最初の巨人戦で打点をあげている。

 悲しいかな…と、書いたほうがいいかもしれないが、この50年間で阪神が優勝したのは3シーズンしかない。だから、記録を遡るのもそんなに厄介な作業ではないけれど、古いシーズンから順に紐解けば、まずは1985年。

 4月16日の対巨人戦で掛布雅之が甲子園のライトスタンドへシーズン1号本塁打をかっ飛ばしていた。

 そして03年は、きのう当欄で紹介した通り、4月11日の対巨人戦で延長十二回ドロー。九回2死から6点差を追いつかれ悪夢を見たわけだけど、この試合でも主砲金本(この年は3番が主戦場)が開幕から13試合目で待望の1号を放つなど3安打を放っていた。

 そして一番新しい記憶の05年は金本が4月12日の対巨人戦、同点で迎えた五回無死満塁で決勝2点タイムリーを放っていた。ちなみに、その夜は試合開始から雨が降りしきる悪天候だったけれど、不動の4番が大仕事をしたのだ。

 16年前は雨中、九回まで戦い、8-1の完勝。マスクをかぶっていた矢野輝弘(当時)もタイムリーを打ったし、取材していた僕もその試合をよく覚えている。

 雨中、七回コールドゲームで勝った。いきなり首位攻防となった21年の対巨人①戦は、大山が打って制したことが意義深いと僕は思っている。85年も、03年も、05年もそうだったように、主砲が巨人との一発目でガツンとやれば当然勢いはつくし、データとしても吉兆。申し分ないのだ。

 ひるがえって巨人の4番はどうか。この夜、岡本和真は無音だった。けれど、データをひっくり返すのは、厄介なのでやめておく。だってこの半世紀、巨人が優勝したシーズンは22回もあるのだ。阪神との初戦で巨人の主砲が打点をあげた年の巨人の優勝確率は…いやもう、分かりません。

 これで阪神対巨人の通算対戦成績は、1993試合で阪神の832勝1090敗71分け(1リーグ時代含む)になった。書かなくてもいいことだけど、258の負け越し。半世紀かかってこの差を埋めるには…それはもういいか。

 兎さんに9年連続負け越し中の虎さんは、過去の対戦成績をトラウマにすることなく、とにかく、今シーズンである。

 85年=13勝12敗1分け(甲子園で9勝3敗) 

 03年=17勝10敗1分け(甲子園で10勝4敗)

 05年=14勝8敗(甲子園で7勝4敗)

 阪神が優勝した3シーズンは必ず巨人に勝ち越してきた。

 大山が巨人のトラウマになるくらいのシーズンになれば…ちなみにトラウマとは「虎馬」ではなく語源はギリシャ語の「傷」という意味である。これまで巨人の4番に負わされたトラウマを今年こそは…。=敬称略=

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