NHLウィニペグ・ジェッツと阪神タイガースの共通点

クリスマスシーズンに家族で観戦するNHL
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 カナダ人としてクリスマスは一年の盛大な祝祭のひとつだ。長年日本に暮らしても、この季節になるとなぜか切なくなる自分がいる。日本風のクリスマス(家族重視ではなく、恋人同士で祝うこと。七面鳥ではなく、ケンタッキーやクリスマスケーキを食べることなど)は悪くないけど、子供のころのホワイトクリスマスを思い出すと懐かしくなって仕方ない。寒い冬の日に兄弟で何時間もストリートホッケーをやっていた。そして夜になったらホットココアを飲みながらテレビをつけてNHLアイスホッケーを見るのが定番だった。

 当たり前かもしれないけど、僕のスポーツ観戦ライフは阪神タイガースで始まったわけではない。子供のころからずっと、地元の球団であるウィニペグ・ジェッツを応援していた。競技も季節もルールも、阪神と全く違うと思いきや、実はこの二つの球団には共通点が多い。

 【実績】どっちも強いイメージを持っている一方、実績はそこまでない。阪神はリーグ分離後、69年でリーグ優勝はわずか5回。ジェッツは大半がAクラスだが、昨年は初めてベスト4まで進んだ。

 【ライバルチーム】どっちも滅法強い球団に長年をわたって悩まされたことがある。その宿敵には史上最強の選手が属していたのも一緒。阪神には巨人。ジェッツにはウェイン・グレツキーのエドモントン・オイラーズ(1985-1990年、5回も優勝したチーム)がいた。

 【ファンが熱狂的】どっちもファンの熱狂振りで有名。阪神ファンはいうまでもなく、自チームのミスなどで鬱憤を晴らすことが多い。ジェッツは反対に、敵チームのスターをからかったりして相手チームのプレーを困惑させるのが得意。

 【暗黒時代】どっちも暗黒時代が長いにも拘らず、ファンの脳裏に焼かれている。阪神は1987年から2002年までの16年間にAクラスはわずか1回。ジェッツは暗黒というより空白時代が正確な表現かもしれない。1996年に経済の面が関係していてウィニペグを去ってアリゾナ州に移動してしまった。違うチームの経済的なピンチでアトランタの球団が2011年にウィニペグに移ったけど、15年間NHLがウィニペグになかったことは未だにさびしい思いをしている人が多い。

 【チームの現在】もっとも大きな共通点は現在にある。両チームは若返りの時期の真っ只中である。阪神は金本前監督の下で積極的に若手選手に機会を与え続けていた。苦しい時期ではあるが、明るい将来が見えてきた。ジェッツも3-4年前から腹をくくって若い選手を多く起用した結果、現在はトップクラスの攻撃型のチームになっている。去年のベスト4に続き、今年はシーズンの折り返しの時点で31チーム中2位。

 こうやって遠い暖かい日本から大好きなウィニペグ・ジェッツのホッケーを楽しく見守っている。ジェッツを応援しながら、阪神タイガースにも黄金時代がやってくる夢を強く持っている。僕の願いは、2019年の阪神タイガースがクリスマスツリーの天辺に輝いている星のように栄冠をつかむことです。皆さん、メリークリスマス!

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。98年初めて来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」(http://www.thehanshintigers.com)で阪神情報を配信中。

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