阪神・筒井コーチ 岡田イズム軸にカットプレーのレベルアップ「確信持てるところ」では外野が一人で勝負してもいい
阪神を2年ぶりのリーグ優勝へ導いた藤川監督を支えた首脳陣も、さまざまな思いを抱いてシーズンを戦った。コーチが今季を振り返る「2年ぶりV奪還 コーチに聞く」。筒井壮1軍外野守備兼走塁チーフコーチ(50)は、岡田前政権をベースに守備走塁と、さらなるレベルアップにチャレンジ。取り組んできたことが結果として表れたシーズンだった。
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今季は、外野のポジションが動いた。ただ、近本と森下を中心に安定した守りでチームを支えた。新体制下で、筒井コーチは前政権からのアップデートを試みていた。
岡田前監督時代はカットプレーに時間をかけて練習した。藤川監督になり、「カットを使わない」と周囲から言われていたが首を横に振った。「さらにレベルアップしようということ。送球の高さっていうのは、岡田さんにすごく勉強させてもらった」。キャンプではカットプレーを使う日、使わない日と分けて、見極めた。
ベースは前政権の作ったもの。そこに上乗せしたのが「確信を持てるところ」と、「ダイヤモンド上に走者が一人しかいない」場合は外野が一人で勝負にいっていいというポイントだ。昨秋のキャンプで藤川監督と話し合い決めたことだった。
成果となって表れた試合が7月13日のヤクルト戦(甲子園)。1点リードの九回1死二、三塁で、右翼へフライが上がった。森下は勝負し、完璧なワンバウンド送球で本塁タッチアウト。劇的勝利だった。「僕は確信のバックホームって呼んでるんです」と笑顔で振り返った。
筒井コーチが大事にしているポイントは長所を理解し、消さずに伸ばすこと。ダメな部分は指摘するが、制限をかけたプレーはさせたくなかった。「彼はああいう形で恩返しをしてくれるというのは、すごくうれしかった」。失敗を恐れず、チャレンジする姿に成長を感じていた。
一塁ベースコーチも務める中で、目標の数にも到達した。昨季の盗塁「41」から「100」に伸ばした。盗塁王の近本や中野と以前から走れた選手に加え、佐藤輝が2桁10個。大山も自己最多の6個を記録した。
「みんな意欲を持って取り組んでくれて、一つの塁を取るのに、努力と研究を重ねた」。盗塁に限らず、前の塁を狙う走塁面でも手応えを感じていた。
2006年に現役を引退後は、指導者としてさまざまな監督の下で経験を積んできた。これからも選手の良さを最大限に引き出し、チームの勝利につなげていく。
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