阪神・湯浅 難病背負い今季40試合に登板 同じ病気のDeNA・三嶋らから影響「少しの光になりたい」 カムバック賞の可能性も
昨年8月に「胸椎黄色靱帯骨化症」の手術を受けた阪神・湯浅京己投手(26)が今季40試合に登板した。難病と向き合いながら復活を示した4月30日の中日戦(バンテリン)の登板以降、チームの勝利に大きく貢献。レギュラーシーズンの全日程が終了し個人タイトルは確定したが、「カムバック賞」の可能性も十分にある。CSや日本シリーズでも結果を残して復活を印象づけたい。
◇ ◇
開幕前に掲げた目標をクリアした。湯浅が2日のヤクルト戦(甲子園)で今季40試合登板を達成。九回無死一塁でマウンドに上がり、1回無失点に抑えてシーズン最終戦を締めた。
「病気の完治は今はないけど、少しの光になりたい。同じ病気の(DeNAの)三嶋さんとかを見て影響を受けたから、自分の活躍で同じような気持ちになる人もいるんじゃないかなって」
昨年8月に「胸椎黄色靱帯骨化症」の手術を受け、誓った思いだった。自分の活躍で誰かに勇気を与えたい-。今季開幕前から最低限の目標としていた30試合登板。理由は、同じ難病を背負うDeNA・三嶋一輝の復帰となった23年が27試合、中日・福敬登も同じ年に29試合に登板し誰も越えられていない数字だったからだ。
完全復活を印象づけた4月29日の中日戦(バンテリン)。3点ビハインドの七回に登板すると、最速150キロを計時して無失点に抑えた。約1年半ぶりの1軍登板を果たしたこの日から、「今の体の状態に合わせたベストな選択をして」とシーズンフル完走。今季40試合に登板して4勝4敗22ホールドで防御率2・52と躍動し、チームに欠かせない存在となった。
ケガや病気、不振などを乗り越えて素晴らしい結果を残した選手に贈られるものとして、連盟特別表彰の一つに「カムバック賞」がある。明確な選考基準はなく、18年に元中日・松坂大輔が選出されて以降は6年間、該当者なし。湯浅が選出される可能性も十分にあり、阪神で選出されれば08年の平野恵一以来、17年ぶりとなる。
ただ、湯浅自身はまだ現状に満足していない。ベストな状態を維持できるように、現在はスパイクの右足に5ミリのインソールを入れている。「足裏全体で地面を感じられるように。その感覚を自然とできるように」としびれなどの症状がよく出ていた右足の意識を改善。日々たまる疲労で手術した背中は硬くなりやすく、投げる動作で体に微妙なズレも生じるため、「正常な位置に戻す」ことを徹底している。
難病とともにシーズンを戦ってきた1年。結果の世界で病をも感じさせない結果を残してきた。短期決戦でも好投し、希望の光となる。(デイリースポーツ・和泉 玲香)
◆カムバック賞 けがや病気、長期の不振などから乗り越えて復活を遂げた選手を称える賞。阪神では1975年・安仁屋宗八、81年・藤田平、99年・遠山奨志、01年・成本年秀、08年・平野恵一が選ばれている。
関連ニュース





