「これでいけるかも」 阪神・及川の分岐点になったマウンド 「結構しびれる場面」で披露した真価
「DeNA2-2阪神」(23日、横浜スタジアム)
阪神・及川雅貴投手(27)が同点の七回から登板し、打者1人を抑えて17試合連続ホールドのNPBタイ記録を達成した。藤川球児監督の現役時代の記録に並んだ左腕。そんな及川が今季の「ターニングポイント」に挙げた試合とは。
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今季は65試合に登板して、911回も全力で腕を振ってきた。いくつものキャリアハイを更新。ブルペンには欠かせない存在となり、1軍で1年間フル帯同しようとしている。ファンの方なら、及川の今季の活躍を確信するような試合が頭に浮かぶかもしれない。私も担当記者として、あれもこれもとターニングポイントが出てきた。当の本人はどうなのか。意外だが、なるほどと思わせる答えが返ってきた。
「正直、今シーズンの1試合目かな。初登板の時。開幕2戦目か」
3月29日の広島戦(マツダ)。1点ビハインドの五回2死満塁で出番がやってきた。自身の開幕戦で四球すら許せない場面。秋山に対して外角のベース板ギリギリを攻め続け、最後も外の直球で見逃し三振。その直後に味方が逆転し、今季初勝利も手にした。
「一切コントロールミスもなく、最高の出だしができた。結構しびれる場面でしょ。でも、そこでやってきたことを出せた。これでいけるかもって思った瞬間だったね」
先発と中継ぎの両にらみ調整をしながら、つかんだ開幕1軍。今年は人生で一番練習をしたという自負もあった。直球を磨き、新球種にも挑戦した。進化を求め、己の信じた道に間違いはないとも思えた。あれから178日。「常に誰かの陰に隠れた存在」という男がNPB記録に並んだ。そばで見てきたからこそ、分かる。人一倍の努力は必ず報われる、と。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔)
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