【西山秀二氏の眼】門田博光さんが重なった阪神・佐藤輝「この感覚で打てばいいんだ」と思えるかどうか

 ファンにサインをし、引き揚げる佐藤輝(撮影・中田匡峻)
 1回、右越えに先制2ランを放つ佐藤輝(撮影・山口登)
 1回、先制2ランを放った佐藤輝は雨の中、ダイヤモンドを一周する(撮影・中田匡峻)
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 「阪神紅白戦、白組3-5紅組」(9日、バイトするならエントリー宜野座スタジアム)

 阪神は2日連続の紅白戦。佐藤輝明内野手(25)が第1打席で特大弾を放った。デイリースポーツ評論家の西山秀二氏は厳しいインコースを「最高の打ち方をした」と称賛。3度の本塁打王に輝いた門田博光さんの打撃をダブらせた。

  ◇  ◇

 佐藤輝はインコースの厳しい球に対して、最高の打ち方をしたと思う。バットを力いっぱい振り回すのではなく、体が自然に反応してクルッと回り、軽くミートするような感じで右翼席まで運んだ。

 理想的と表現してもいいインコースのさばき方に、同じ左打者で、3度の本塁打王に輝いた門田博光さんの打撃が重なった。

 私は南海ホークスに入団して間もない頃、門田さんが特打を行う際にキャッチャーを務めることがよくあった。インコースの厳しい球に対して体をうまく回転させて打ち返し、右翼席まで運ぶ姿を何度も見た。門田さんはそんな時、決まって私の方を振り返り、「今のがインコースの打ち方や」と教えてくれたものだ。

 内側の球は力で打ち返すのではなく、体の回転で運ぶと、切れずにフェアゾーンに飛んでいく。佐藤輝にはこの1本をインコース打ちのきっかけにしてもらいたい。「いい形で打てました」でとどまるのではなく、「この感覚で打てばいいんだ」と思えたとすれば、とても価値がある。

 他球団は昨季までと同様にインハイ、インコースを突き、低めの落ちる球を振らせる、という配球を軸に今季も攻めてくるだろうが、きょうのような打ち方を続けていけば、必ず捉える確率が上がってくる。佐藤輝が今後にどうつなげていくのかをしっかりと見ていきたい。

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