井川慶氏 阪神連覇へマイナスを補うプラスがどれだけあるかが大事

 球団史上初の連覇を目指す岡田阪神。実現の前に立ちはだかる“魔物”とは…。かつて夢破れた虎戦士が、後輩たちに提言する企画。今回は2005年と06年を含め、5年連続で開幕投手を務めるなど、エースとしてチームを支えた井川慶氏(44)=デイリースポーツ評論家。当時を振り返り、チームに生じたマイナス面をいかに補えるかを、連覇のポイントに挙げた。

  ◇  ◇

 井川氏にとって、2006年は結果的に阪神でのラストシーズンとなった一年だった。チームの連覇については「優勝というのは僕一人でどうこうできるものではないという意味で、そこまで意識したわけではなかったです」と振り返る。その上で、前年を踏まえて自身の成績を上げることに意識を置いた。

 「優勝した05年が本来の出来ではなかったので、まずは200イニング投げようと。任されたところで貢献することを考えて、その結果、チームの優勝につながれば、ということでしたね」

 05年は13勝を記録したものの、シーズン途中に2軍降格も経験。思うようにいかなかった悔しさをぶつけた06年は、209イニングを投げて14勝を挙げた。防御率も3年ぶりの2点台で、奪三振のタイトルも獲得。だが、チームは2位に終わった。井川個人で見れば“プラス”だったが、チームにはそれ以上にマイナスが生じていた。

 「あの当時はチームとして強かったですが、06年はケガで離脱した選手もいたので。連覇のためには、自分たちでどうしようもない部分もありますが、ケガ人が出ないかとかマイナス面をいかになくせるかでしょう」

 05年は打線も機能していた中、投手陣では「JFK」の藤川、ウィリアムス、久保田(現投手コーチ)の存在が光った。ただ06年は、野手では05年に147打点を記録した今岡(現打撃コーチ)がシーズン途中にケガで離脱。投手ではウィリアムスがケガで出遅れ、久保田もシーズン途中にケガで離脱。05年と比較した時に、マイナスの部分が大きかった。

 「主力のケガはチームにとってマイナス。また、前年に活躍した選手が不調などで同様の成績を残せないこともある。これもマイナスとなります。ただこれは起こりえることではあるので、その時にそこを補うプラスがどれだけあるかが大事だと思います」

 今季、仮にチームにマイナスが生じたとしても、それを上回るプラスがあればいい。「例えば西勇投手や青柳投手は、昨年は悪くはなかったけど本領発揮という一年ではなかったように思います。そういった選手が昨年以上のものを出せば、それだけで昨年よりもプラスになるので。今の阪神は非常に選手層が厚い。連覇は十分に可能だと思うので、楽しみにしています」。自身が味わえなかった連覇を後輩に託し、ネット裏から温かく見守っていく。

 ◆井川 慶(いがわ・けい)1979年7月13日生まれ、44歳。茨城県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。水戸商から97年度ドラフト2位で阪神入団。06年オフにポスティングシステムで米大リーグ・ヤンキース入団。12年にオリックスでNPB復帰。15年退団後、17年に独立リーグのBFL兵庫でプレーし同年オフ退団。NPBでは03年にMVP、ベストナイン、沢村賞など七冠。

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