阪神・佐藤輝、あと数センチで場外の特大弾 オープン戦1号2ランに岡田監督ニッコリ「別にもうなんにもないよ」

 「オープン戦、巨人9-4阪神」(23日、沖縄セルラースタジアム那覇)

 オープン戦が23日、スタートし、阪神は開幕カードで対戦する巨人に大敗を喫した。それでも佐藤輝明内野手(24)が推定125メートルの豪快弾でスタンドを沸かせた。三回に逆風を切り裂き、右翼スタンド後方の防球ネット最上部に当てる1号2ラン。あと少しで場外弾となる特大アーチだった。開幕前哨戦に敗れはしたものの、阿部巨人に強烈なインパクトを残した。

 乾いたバットの音が鳴り響くと、一瞬にして球場はどよめきに包まれた。沖縄の空に白球がきれいな放物線を描く。佐藤輝は打った直後に柵越えを確信。豪快なフォロースルーを決め、ゆっくりと走り出した。「しっかり角度がついて、いい当たりが打てたと思います」。1万4581人の視線を独り占めにした。

 1-7の三回2死二塁。まだオープン戦とはいえ、劣勢ムードで空気は重たかった。その初球。「1球で打てたので、そこは良かったと思います」。赤星の初球、145キロ直球を迷いなく振り抜いた。打球は勢いよく打ち出され、右翼スタンド後方の防球ネット最上部に直撃。左翼席では黄色の旗が揺れた。

 あと数センチで場外弾。推定飛距離125メートルと驚異の一発に、岡田監督もベンチで思わず白い歯をこぼした。オープン戦開幕戦での本塁打は新人時代の21年3月5日のソフトバンク戦以来、3年ぶり。この日は4打数1安打に終わったが、今キャンプの実戦は15打数8安打で打率・533と好調を維持している。

 指揮官は「別にもうなんにもないよ、なんにも言うてないやんか。使うんやから、使う選手やねんから」とあっさり。これだけの結果が出れば、苦言もない。信頼して送り出すだけだ。

 それでも、本人に慢心はない。「凡退の打席もあった。そこを何とか、もっといい当たりを打てるように頑張りたい」。八回無死は松井の内角直球に手が出ず、今季の実戦17打席目で初三振。「自分の中で課題を考えて、実戦の中でしっかり試したい」と24日のヤクルト戦(浦添)、25日の中日戦(北谷)でも結果を残し続けたい。

 打撃だけでなく、好守もあった。初回1死一、二塁でオコエの三塁線への強いゴロを逆シングルで好捕すると、そのまま三塁ベースを踏んでアウト。一塁送球こそそれたが、特守の成果を実戦の場で発揮した。「1つでもアウトを取れるようにやっていきたい」。連打を浴びて、苦しんでいた伊藤将を助ける形にもなった。

 巨人とは3月29日の開幕戦で、東京ドームで激突する。「投手ももっと上げてくると思う。まずは自分の状態を上げて、開幕を迎えられたらいいなと思います」。今年の佐藤輝は不安要素を感じさせない。

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