「ＪＥＲＡ　ＣＳセ・ファイナルＳ・第１戦、阪神タイガース４－１広島東洋カープ」（１８日、甲子園球場）

　阪神の坂本誠志郎捕手が五回の第２打席で右腕付近に死球を受け、バットを放り投げて怒りをにじませる場面があった。

　五回１死、広島・九里が投じた内角シュートが坂本の右腕を直撃した。坂本は鬼の形相を浮かべてバットを放り投げ、まっすぐ前だけを見つめて一塁へ歩いた。甲子園球場は騒然となり、異様な雰囲気へと変化した。

　普段は温厚なイメージがある選手だけに、怒りのしぐさに甲子園は騒然。この姿にチームは奮起したのか、木浪が右前打で一、三塁と好機を拡大すると、投手・村上が一塁線を破る勝ち越しの適時二塁打を放った。

　さらに近本にも中前２点打が飛び出し、死球からの怒涛の３連打で広島を突き放した。以降は盤石の投手陣が付け入る隙を与えず、先発の村上は６回１失点の好投。七回は桐敷が３者連続三振に封じ、八回は石井－島本のリレー。九回は守護神・岩崎が締め、初戦を快勝した。ハイタッチをかわした坂本は安堵の笑みを浮かべ「（死球は）大丈夫です。そんな書かなくていいです」と多くを語らず。右手にバットを持ち、アイシングなどもしていなかった。