【藤田平氏の眼】阪神・岡田監督の優れた「先を読む力」と選手へ配慮する「柔軟性」
秋季練習がスタートし、阪神・岡田彰布監督(64)の指導がいよいよ始まった。チームの再建とともに、次世代指導者の育成なども託された“第2次岡田政権”へ、デイリースポーツ評論家・藤田平氏(75)が期待や球団の在り方などを語った。
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岡田監督はプロ野球球団の監督らしい人物だ。チームを率いる能力、素質を持ち合わせている。私も阪神OBとして、岡田監督にチームを託すことを決断した球団に拍手を送りたい。
久々の現場復帰となる。選手との年齢は離れている。だが心配はいらない。選手のプライドに配慮しながら作戦を進める柔軟性もある。例えばクリーンアップにバントさせるにしても、目先の1勝だけに走ることは決してない。
采配面でいえば『先を読む力』に長(た)けている。2005年に優勝した当時も発揮したようにひとつ先、ふたつ先だけでなく最後までの流れを見越した判断を下せる。来季もベンチの計算通りにゲームが進み白星を重ねるごとに、首脳陣と選手の信頼感は深まっていくだろう。
監督に就任してすぐ大山を一塁、佐藤輝を三塁に固定する方針を示した。22年シーズンは試合中でも守備位置が変わった。主力選手も複数ポジションを守った理由のひとつは得点力不足。ただ、各選手のバッティングに影響を及ぼした。
選手のメンタルを考えてもクリーンアップを任せる選手のポジション固定は大事。今の若い人はおとなしいので、今年は思っていることを言えなかったかもしれない。
チーム防御率2・67は12球団トップ。一方、失策数は5年連続リーグワースト。投手力を生かす意味でも守備は重要。当然、大山と佐藤輝のポジション固定は賛成。1つのポジションに多くの練習時間を充てられる。
さらにチームとしてシーズン通しての計画が立てやすく、選手もゲームプランがイメージしやすい。そういう効果を岡田監督は予見しているのだろう。