【岡田の野球 道一筋5】高卒2、3年目でレギュラー奪う野手育成を

 いよいよ発足した阪神の第2次岡田政権。4年間の矢野野球が終わり、これから始まる「岡田の野球」とは?デイリースポーツ評論家時代の岡田監督と行動を共にしたプロ野球デスクらが、その神髄に迫る。

  ◇  ◇

 岡田監督は就任オファーを受けた9月22日、球団幹部と「育成」についても話し合い、生え抜きを育てる方針を確認している。20日のドラフト会議は支配下選手では12球団最多の4人の高校生を指名。“育成の阪神”がより鮮明になった。

 現在のチームを分析して「若い投手はようなっとる」と新指揮官。だが、野手の「育成」の捉え方は少しズレがあったという。

 球団は今季の近本、佐藤輝、大山の“ドラ1クリーンアップ”や、中野ら近年のドラフト指名選手が主力となっていることに手応えをつかんでいる。外様が中心を担った以前と比較すれば、順調に育っているといえる。

 一方、岡田監督は「年数が浅いから『育成できている』という考え方と、俺は少し感覚が違う」と言う。今の阪神に必要と考えている育成は、高卒野手が早い時期から1軍に定着し、レギュラーへ成長していく形だ。

 大卒選手や大学を経て社会人から入団した選手は入団3年で20代中盤。10年で30代中盤となる。「阪神は最近、高卒野手のレギュラーがおらんやろう?高卒2、3年でポジションを取れば長くチームを支えてくれるし、将来のために必要やで」。現在のチームを土台に、ヤクルト・村上、巨人・岡本和のような中心となる選手育成を見据える。

 誤解を生むかもしれないが、岡田監督はチームを率いる上で「育てる」ということを目的にはしない。大前提は、勝つこと。練習して勝つために必要な技術、体力、考え方を身につけさせれば、「選手は自然に育っていくで」という考え方だ。

 コーチに指導法を指示することはあっても、選手に直接指導することはめったにない。「その姿を見たら教えてもらっていない選手がどう思うか」。助言する場合は、コーチを介して「『監督が言っていた』と言うように」と伝える。直接指導する機会が少ないからこそ、普段から指導するコーチには要求するレベルが高くなる。

 自身は現役引退後にオリックスと阪神で7年間、2軍を指導。打撃投手がいないため、毎日のように全体練習と居残り練習で500球以上を投げた。マメがつぶれないように、打撃用手袋を着用して投げたことも。オリックス時代のご褒美は寮の冷蔵庫で冷やしてもらった缶ビール1本。いつしか右肩は上がらなくなったが、育った選手が1軍で活躍する姿が励みだった。「いい経験やった」と笑う。

 今の阪神にも情熱を持って指導するコーチはいる。ただ、現実として近年は高卒野手のレギュラーがいない。何が足りないのか。岡田監督は現状を精査し、コーチとともに次世代を担う選手を鍛え上げていく。(デイリースポーツ・西岡誠)

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