阪神今オフ補強第1弾 ウィルカーソン獲得 右肘手術で2年間冷凍食品会社勤務の“苦労人”

 阪神の今オフ補強第1弾が決まった。新外国人として獲得交渉を進めていた前ドジャース傘下3Aのアーロン・ウィルカーソン投手(32)と合意に達したことを1日、嶌村聡球団本部長(54)が明かした。大学時代にトミー・ジョン手術を経験しながらプロ入りした“苦労人”。球団は先発候補の一角として期待を寄せた。

 “スアレスショック”が広がった直後に補強第1弾の一報が届いた。「契約の合意はさせていただきました。来年、うちのユニホームを着てプレーする形になります」。嶌村球団本部長が明かしたのは来季、33歳を迎える先発型右腕・ウィルカーソンだ。

 今季、ドジャース傘下3Aで23試合に登板(うち19試合が先発)し、8勝5敗、防御率3・86。188センチの長身から投げ下ろす癖のない投球フォームで、球速の平均は145キロ前後ながら、直球で空振りが取れるのが売り。「左打者へのチェンジアップ、右打者へのスライダー、カーブ、フォークかな。いろんな球種を投げて、コントロールが非常に良く、真っすぐが球速以上の体感(速度)がある」と同本部長は期待を寄せる。

 大学時代は“無双状態”で、メジャーのドラフト1位候補として注目を浴びた。カンバーランド大4年時には、リーグ戦で54イニング連続無失点の米大学記録を樹立。しかし、その時点で右肘はボロボロの状態でトミー・ジョン手術に踏みきり、野球から離れた2年間は食品会社の冷凍部門で働いて生計を立てていたという。

 そこから独立リーグを経て、2017年にブルワーズでメジャーデビュー。19年までの3年間で14試合に登板してメジャーで勝利を挙げるまでに至った。今季3Aでは112イニングで125奪三振。1試合9イニング換算での三振数を示す奪三振率は10・04をマークし、なおかつ四球は24と安定感が際立つ。

 「空振り率も高く、非常に安定感のある投手だと見込んでいる。先発に見合った投手。そういう認識です」と嶌村本部長。全体的な平均点が高く、メジャーで1勝のみと実績がない状況での来日という点では、ガンケルとイメージがだぶる。

 阪神は投手陣ではスアレス、エドワーズが退団、先発陣では今季9勝を挙げたガンケル、左肩のケガからの復活を狙うチェンが残留する。その2人と外国人の先発枠を争う形となるウィルカーソン。“苦労人”がジャパニーズドリームを夢見てタテジマに袖を通す。

 ◆来季の先発ローテ 今季最多勝・勝率1位のタイトルを獲得した青柳が軸となる。2年連続2桁勝利を挙げた秋山と新人ながら10勝をマークした左腕の伊藤将は当確。今季6勝からの巻き返しを狙う西勇も有力とみられ、この4人に今季9勝のガンケルが続く。ウィルカーソンは、残り1枠を先発転向が決まった及川や西純、藤浪らと争う。さらに、チームは来季も助っ人8人体制を目指しており、外国人枠の競争も制する必要がある。11月に左肘クリーニング手術をした高橋は来季の開幕には間に合わない見込みだが、ドラフト2位・鈴木(創価大)、同3位・桐敷(新潟医療福祉大)らルーキーが加わり、来春キャンプ、オープン戦では激しいバトルが繰り広げられそうだ。

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 アーロン・ウィルカーソン(Aaron Wilkerson)1989年5月24日生まれ、32歳。米国テキサス州出身。188センチ、104キロ。右投げ右打ち。投手。カンバーランド大から独立リーグを経て、2014年にレッドソックスと契約。17年にブルワーズでメジャーデビュー。20~21年はメジャー登板なし。今季はドジャース3Aで23試合8勝5敗、防御率3.86。メジャー通算成績は14試合1勝1敗、防御率6.88。

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