「阪神３－０中日」（２日、甲子園球場）

　連日浴びる聖地の大歓声が最高に心地よかった。２日連続で上がったお立ち台。勝利に導いた手でマルテがマイクを持った。誰もが待っていた決めポーズを叫ぶ。「１、２、３ラパンパラ」。ファン、そして完封勝利を挙げた高橋と喜びを分かち合いたい。猛虎の助っ人は一体感を高める儀式で締めくくった。

　前夜のＶＴＲを見ているかのような豪弾が飛び出した。初回無死二、三塁。フルカウントからロドリゲスが投じた８球目、高めに浮いたカットボールを完璧に捉えた。快音を響かせた打球は、きれいな放物線を描いて左翼席に飛び込んだ。

　１日の同戦で放った２０号３ランに続き、２試合連続となった先制の２１号３ラン。「すごく満足しているよ。初回から点が欲しい場面だったので、しっかりそこをものにできて。チームもいい状態で倒すことができた」と充実感を漂わせた。

　主砲の一撃で試合の流れを呼び込み、勝利へと導いた。矢野監督は「マルテが最高の形で決めてくれたんで、ホームランはやっぱり大きい」といきなりの好機で勝負強さを発揮した助っ人を称えた。

　来日３年目の助っ人。今季はここまで１１０試合に出場し、過去２年の安打、本塁打、打点はすでに更新している。「１年、１年数字は良くというのは大事なことだと思う。いい状態でいい結果として出ているので喜んでいるよ」。結果を出すために抜かりない準備。全体練習を終えた後も気になることがあれば、室内練習場で打撃マシンと向き合うこともあった。

　１６年ぶりのリーグ制覇は目標ではなく使命だ。「（優勝への）思いというか、優勝しなければいけないというほうが強い」と力を込める。悲願の頂点へ、マルテがバットで着実に近づけていく。