阪神・中野 “守勲”ドロー!超ビッグプレーでサヨナラ阻止 敵将も絶賛

 素早く本塁へ送球する中野(撮影・西岡正)
 9回、2死満塁で中田の打球を好捕する
 本塁アウトになる増田(捕手・坂本)
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 「巨人6-6阪神」(24日、東京ドーム)

 猛虎の執念が詰まった価値あるドローだ。阪神は1点を追う九回に同点に追い付くと、直後の1死満塁で中野拓夢内野手(25)がスーパープレーでサヨナラ負けを阻止した。首位・ヤクルトが勝ったため0・5ゲーム差に広がったが、敗戦も覚悟した展開から2試合連続引き分け。最後まで諦めない姿勢で逆転優勝への道を切り開く。

 大事な大事な一戦で、阪神ナインの執念が随所にほとばしった。特に際立ったのは敵将・原監督が「スーパープレー」と評した、九回裏の中野の“超絶守備”だ。

 スアレスが1死満塁のピンチを招く。打席には丸。鋭いゴロが三遊間を襲った。前進守備の中野が横っ跳びでグラブに収めると、すぐさま本塁へ転送。捕手・坂本は腕を伸ばしてワンバウンド送球を懸命にキャッチ。微妙なアウト判定だったが、巨人側のリクエストでも覆らず、サヨナラ負けを阻止した。

 「バウンドを合わすのも難しいと思うし、誠志郎(坂本)も粘って捕った。本当にみんなで必死に取りにいったアウト」。矢野監督も称賛を惜しまない。

 なおも2死満塁ながら、スアレスが意地を見せ、中田を打ち取って引き分け。「もちろん勝ちたかったけどね。でも、みんなが必死の姿で最後までやり切ってくれた。よくやってくれた」。執念の、そして価値あるドローをそう評した。

 同点に追いついた九回の攻撃も執念だった。1点を追う状況で、先頭の糸原が四球を選び、代走の植田が初球スチールを成功。不振のサンズが中越え二塁打を放って、試合を振り出しに戻した。

 この日の練習前に矢野監督はミーティングを開いた。「残り1カ月くらい。もう一回、オレも何ができるのかなって」と選手たちに語りかけた意図を明かす。

 その内容は、今まさに苦しい中でこそ楽しむ努力をするなど矢野野球の“原点”だった。「俺がきょう話すことも1%かもしれないけど、それぞれが1%上げてくれたら、すごいパーセンテージに変わる可能性がある」。さらに試合後には、思うように勝ち星をつかめない西勇と20分以上の話し合いを持った。

 大山の4番復帰に、九回は佐藤輝に代打を送り、島田に犠打を成功させた采配…。随所に指揮官の執念、思いがあふれていた。

 勝てなかったが、負けなかった。そしてチームは再び結束を深めた。この引き分けが次戦、そして16年ぶりの悲願へとつながっていく。

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