「広島６－４阪神」（２７日、マツダスタジアム）

　パパの力は無限大だ。両チーム無得点のまま迎えた二回。２死走者なしで、阪神・ロハスが大瀬良の外角直球を振り抜いた。打球はマツダスタジアムの空高くへ舞い上がり、左翼席へ到達。２４日・ＤｅＮＡ戦（京セラ）以来、３試合ぶりの先制５号ソロをたたき出した。左打席では初の逆方向へ放った一発だ。

　「前回対戦した時は良い当たりを打ちながらも抑えられていたので。打てる球に良いスイングができた結果、ああなって良かった」

　特別な意味を持つ一発だった。「実はきょう娘が生まれたんだよ！産まれてきてくれた娘にささげる最高のプレゼントになって良かったね」。アーチを描いた直後、第２子となる長女が生まれたことを発表。日本時間の今朝早くに誕生したといい、「愛する家族のためにも、もう１本、２本と打てるように頑張るよ」と声を弾ませた。

　その言葉通り、１点リードの四回には、フルカウントから大瀬良の１４７キロ直球を右前にはじき返して、マルチ安打をマーク。ここ２試合当たりが止まっていた中、最愛の存在が原動力だ。

　さらに守備でもハッスルプレーを見せた。四回、逆転を許しなおも２死二、三塁の場面。野間が放った大飛球に対し、左腕を目いっぱい伸ばしグラブに収めた。捕球後は勢い余ってフェンスに激突。前日のＤｅＮＡ戦では適時失策を犯していただけに、「昨日のミスを取り返すじゃないけど、守った以上はそっちでもチームに貢献したい」と力を込める。

　ただ試合に敗れたことで、愛娘へ勝利のプレゼントはかなわなかった。「生まれたところにいられなかったことは残念ですけど、元気に生まれてくれたので。勝てたらさらによかったけど、また気持ちを切り替えて頑張ります」。家族と離れ、チームと頂点を目指す助っ人大砲。この秋、最高のＶをプレゼントしてみせる。