阪神・球児が帰ってきた!炎の直球勝負1回0封 引退表明後初の1軍登板

 6回、上本を併殺に打ちとり笑顔を見せる藤川
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 「阪神1-5広島」(20日、甲子園球場)

 甲子園が沸いた!今季限りでの現役引退を表明している阪神・藤川球児投手(40)が六回から登板し、1回を1安打無失点。8月10日・DeNA戦以来となる1軍マウンドで時折、笑顔をのぞかせながらも、12球中11球が直球の真剣勝負で1万282人のファンを魅了した。残り17試合。“炎のストレート”で別れを告げる。

 マンモスが揺れた。待ちに待った藤川の登場だ。名前がアナウンスされた瞬間、ファンはリリーフカーが出発する右翼付近に殺到した。「球児~!」「頑張れ~!」。5点ビハインドの六回だ。おなじみの登場曲に乗って、藤川が甲子園のマウンドに帰ってきた。

 異様なムードの中、本能が目覚めた。初球はもちろん直球だ。この日最速の147キロは内角高めのボール球。147キロ、144キロと続け、左前打を浴びた。悲鳴はすぐさま歓声に変わる。続く上本を146キロで遊直併殺に打ち取ると、最後は九里へ146キロをズドン!火の玉ストレートで見逃し三振に斬った。

 「(歓声は)試合が始まると聞こえないですね。冷静でいて、だんだんスイッチが入るように。やっぱり習慣ですね。マウンドで普段の自分ではないので、いくら歓声を感じようと思っても消えますね」

 8月10日・DeNA戦(横浜)以来、71日ぶりの1軍マウンドで、藤川は勝負師の顔に戻っていた。1回を1安打無失点。12球中11球が直球だった。ファンの歓喜に藤川も満面の笑みだ。スタンドの大歓声に手を振って応えた。

 「ファンの皆さんも応援してくれて、チームの雰囲気もその後、変わったと思う。今できる現状でね。チームを元気づけたり、勇気づけたりという役割もあると思うので。投げられる限り、頑張っていきたいと思います」

 「11・10」の引退セレモニーまでのカウントダウンはツイッターを駆使して満喫中だ。前日19日は現役引退を表明した巨人・岩隈をねぎらい、自身の引退グッズ発売日のこの日は練習前に「タイガースショップアルプス」をお忍び訪問したことを報告した。「ユニホームを脱いで普通の1人の自分というものを最後、少し皆さんに分かってもらおうかなと思っている」。残りの現役生活もファンと共に歩んでいくつもりだ。

 チームは敗れたが、藤川の熱投が九回の反攻を呼び込んだ。「最後にもっと上がっていけるように、いいものを見せられるように頑張りたい」。残り17試合。ラストマウンドまで、藤川は気力を振り絞る。

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