小林繁 因縁の江川とCM共演で酒酌み交わす「二人ともしんどかった」   

 阪神タイガースの球団史を彩る名勝負を、当時のデイリースポーツと共に振り返る随時掲載企画。今回は1979年4月10日の巨人戦(甲子園)、「江川事件」を経て阪神に移籍後、初めて因縁の古巣との試合に登板した「小林繁、魂の巨人戦初登板」を取り上げる。

  ◇  ◇

 移籍初年度こそ巨人に対して8勝0敗の成績を残した小林だったが、翌年以降の4シーズンで古巣相手に5勝15敗と大きく負け越すことになる。

 2017年にデイリースポーツ紙で連載された『人間再発掘シリーズ~反骨のサイドスロー小林繁』には「なんだか巨人に対する意識が変わってしまった。チームにも江川にも、憎しみが消え、燃える対象になりづらくなっちゃってね」と公言したとある。1年目に“倍返し”を果たしたことで、闘志の火が消えてしまったのかもしれない。

 「江川事件」から28年がたった07年には、酒造メーカー・黄桜のCMで因縁の二人が共演した。事前の打ち合わせなしに小林と江川が酒を酌み交わしながら1時間以上も対談。その一部がCMとして使われた。

 江川「長いこと、申し訳ございませんでした」

 小林「謝ることないじゃん!」(グラスを合わせ)「しんどかったよな。俺もしんどかったけど…二人ともしんどかった」

 CMの中で「(この対談で)残りの人生が少し変わったものになるんじゃないかと思う」と話していた小林だったが、それからわずか3年後の10年1月17日に急性心不全により、57歳の若さでこの世を去る。日本ハムの1軍投手コーチに昇格し、キャンプインを迎える直前の急死だった。

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