【一問一答】前阪神ジョンソンがエール 才能ある藤浪、自分を信じろ

 昨季は阪神のセットアッパーとして活躍し、オフにパドレスと2年契約を結んだピアース・ジョンソン投手(28)が、このほどアリゾナ州ピオリアの球団キャンプ施設でデイリースポーツの単独インタビューに応じた。1年で阪神退団を決意した真相を語るとともにチームメートやファンに感謝。『生涯タイガース』を宣言し、「ガンバッテ!」とエールを送った。以下はジョンソンとの一問一答。

  ◇  ◇

 -日本で過ごしたシーズン。どんな1年だった。

 「とても大きな1年でした。日本のことは愛しているし、素晴らしい経験でした。友人もたくさんできましたし、今でも何人かの選手や通訳の方とは話をしたり、ショートメッセージを送ったりしています。通訳とは週1回ぐらいのペースで話をしています。フィールド上だけでなく、球場外でも素晴らしい経験をさせていただきました。日本での1年がなければ、僕はここにはいなかったでしょうね」

 -昨年、日本ではオープン戦から調子がよく、シーズンに入っても好投した。あなたがいなければ、CS進出も分からなかったと言っても過言ではないと思うが、成功のカギは何か。

 「そう言ってもらえるとうれしいです。カギは『一貫性』ですね。ストライクを投げ続けたこと、それが自分の助けになったと思います。自分のボールを信じ、自分の長所を生かす投球を心掛けたことが素晴らしいシーズンにつながったと思います。それに僕のバックやホームを守ってくれたチームメートが本当にいいプレーをしていた。ウメノ、チカモト、キナミサン、ホウジョウ、オオヤマ…みんなが僕を助けてくれた」

 -梅野捕手とのコミュニケーションは。

 「言葉の問題があったので、米国にいた時とは同じようにはいかなかったですね。普通の会話がなかなか難しかったですけど、野球は世界共通語ですから。試合で起こっていることはお互いに理解していたし、彼はすごくいい仕事をしていたと思います。コミュニケーションで言えば、キュウジ(藤川)とコウスケ(福留)ですね。僕の知らないことを英語で教えてくれたりして、新しい環境にうまくなじめたのは2人の存在が大きいですね」

 -矢野監督はどのような監督だった。

 「会話は通訳を介してなので、いつもやり取りは短かったですが『調子はいいか?』『好投してくれてありがとう』『明日も頼むぞ』と声を掛けてくれたのはうれしかったですね。僕のことをよく知ってくれていたと思いますよ」

 -阪神ファンは複雑な思いでいます。米国に戻って成功してほしい気持ちも…。

 「戻って来てほしいという気持ち、ですよね?僕にとっては本当に難しい決断でした。ファンのみなさんは僕を日本人選手と同じように歓迎してくれました。本当によくしてくれました。ドウモアリガトウゴザイマシタ。彼らにはとても感謝しています。彼らがいてくれたことで素晴らしい経験ができました。正直、阪神での1年は僕の野球人生でベストのシーズンと言えます。ファンタスティックでした」

 -なぜ、日本を離れる決断をした。

 「日本では素晴らしい経験をさせてもらいましたし、日本を今も愛しています。ただ、昨年10月に生まれた息子が合併症でNICU(新生児用集中治療処置室)に入らなければならず、とてもつらい思いをしました。僕にとって一番大切なのは家族です。家族みんなが一緒にいること、そばにいることは本当に重要なことなのです」

 -息子さんの状況は。

 「今は健康です。でも、生まれた時はとても小さくて(未熟児)しばらくNICUに入っていました」

 -体重はどれくらいだった。

「4ポンド(約1810グラム)弱でした。小さかったですね。出産は予定日より若干早かっただけでしたが、合併症を発症しました。3月4日で5カ月になります。名前はブレックです。BRECKです」

 -日本の野球から学んだことは。

 「一番に感じたのはとても勤勉であり、物事を深く考えるということですね。ストレッチや練習一つ取ってもそれを感じました。そういう姿勢が好きでした。とてもプロフェッショナルでしたね。米国で培ってきたルーティンに日本で学んだことを組み合わせていました」

 -大変だった部分は。

 「やっぱり、言葉の壁ですね。全く異なる言語ですからね。選手の中で英語を流ちょうに話せる人が少ないのはつらかったですね。ランディ(メッセンジャー)はシーズンの半分がマイナー(2軍)で調整していたし、ナバーロもそうでした。気軽に話せる人がいなかった。孤独を感じることはありました。できるだけ日本語を話そうとはしましたが、日常会話とまではいきませんでした。その部分は本当に大変でしたね。特に妻(クリスティーナ夫人)が出産に備えて昨年8月に米国に戻ってからの3カ月間は野球のことだけを考えて生活していました」

 -新加入のジェリー・サンズがあなたから助言をもらったと話していた。

 「彼とはジャイアンツの3Aで一緒にプレーしていました。彼から電話があり、けっこう長く話をしました。僕が伝えたのは、自分から提案した方がいいこと、住む場所、日本に持っていく必要があるもの、ないもの、などですね。彼は韓国でプレーしていましたから、そのあたりのことは知っていましたが、自分の経験を伝えました。楽しんでプレーしてほしいですね」

 -サンズに最も伝えたかったことは。

 「何事も全力で取り組め、そして、言語を習得しろ、ですね。あとは、何でも食べてみろ(笑)。すべては経験ですからね。僕はそれらを実践することで、食べ物や遠征など野球以外のこと、日本のすべてを楽しむことができましたから。もし、そういう気持ちになれなければ、本当につらいと思いますよ」

 -タイガースの中で見ていて楽しい選手は誰だった。

 「そうですねぇ…。ピッチャーの中で僕が一番好きだったのはニシ(西勇)ですね。彼のマウンド上での立ち居振る舞いが大好きでした。攻めの投球、投げることを楽しんでいる姿は見ていて楽しかったですね。ウメノは爆発力ですね。彼はアニマルですから(笑)。どんなボールも体を張って止めてくれました。野手ではチカモトですね。彼は本当に速かった。試合の流れを変えられるスピードを持っていましたね。あとは、ブルペンのみんなですね。素晴らしい仲間でした」

 -では、チームの中で一番才能を感じた選手は誰?

 「才能ある選手…フジナミ。彼はチームの中で最も才能ある選手だと思いますね。それは僕だけでなく、みんなもそう感じていると思いますよ。彼は本当にいい投手。やるべきことはいくつかあると思いますが、まだ若い。これからですよ」

 -藤浪投手はコントロールが課題と言われ続けている。

 「メンタルだと思いますね。僕たち全員が彼の投げるボールを知っています。ストレートは本当に力強くて速いし、本当にいいカーブも投げる。スプリッター(フォークボール)は打者を圧倒する。繰り返すけど、彼の投げる球はどれも素晴らしい。必要なことは、自分を信じること、自信だと思います。必要な何かを見つけ出すことができれば、彼はメジャーでも通用する。それほどいいものを持っている」

 -メンタルの部分で心掛けていることは。

 「自分には、ここにいる理由がある、自分はメジャーで投げる力があるんだ、と自分に言っています。自分の投げるボールを信じることができるようになった時、すべてがうまくいくようになったと思います。彼もそれができれば…、彼は自分が最高の投手になれることを知っていると思いますよ。そういう意味では、彼次第だと思います」

 -阪神ファンに伝えたいことは?

 「感謝の気持ちしかないですね。アリガトウ。僕はこれからもタイガースの一員ですし、ファンのみんなと一緒に応援し続けます。僕も『ガンバリマス!』。繰り返しになりますが、アリガトウゴザイマシタ!」

 -チームに伝えたいことは?

 「素晴らしいシーズンを送ることができたことに感謝しています。みんながいなければ、僕はここにはいません。チーム、選手のみんなにとっていいシーズンになることを願っています。僕はこれからもタイガースの一員です。日本一に向かってガンバッテ!」

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