矢野監督決定 タイガース愛で男気受託「逃げてやらない後悔より…」

 阪神の新監督として、今季2軍監督を務めた矢野燿大氏(49)の就任が15日、決まった。矢野氏はこの日、兵庫県西宮市内の球団事務所を訪れ、球団に要請の受諾を伝えた。17年ぶりの最下位に転落するなど苦しいチーム状況の中、タイガースを助ける思いでの「男気受諾」となった。虎の第34代監督として、近日中に就任会見を行う。

 グレーのスーツに赤いネクタイを締め、緊張した面持ちで球団旗の前に立った。夜も眠れず、悩み続けて答えを出した。球団に受諾を伝えた後、取材に応じた矢野新監督。その冒頭で自ら口を開いた。「いろいろ考える時間もいただきましたけど、タイガースの監督をやらせてもらうことに決めました」。力強く発した言葉に、固い決意が見えた。

 「本当に悩んだんですけど、逃げてやらない後悔より、やりきってみるべきだなというふうに思いました」

 前日の2度目の交渉で、この日に受諾か否かの決断を球団側に伝えることを発表。大勢のマスコミが甲子園に詰めかけた中、時の人は12時49分にタクシーで球団事務所に到着。球団側に受諾の返答を告げるなど話し合いを行った。その後、13時30分に報道陣の前に現れ、思いを語った。

 逃げる選択肢を選ぶことなく、前に進むことを決めた。宮崎で揚塩球団社長から就任要請を受けたのが、13日の夜のこと。14日早朝に緊急帰阪し、「家族会議」も行った。簡単には決められない、人生の中の大きな分岐点。スピード決着となったものの、悩み抜いた末の答えとなった。

 「もちろん家族もそうですし、今年の金本監督の大変な姿を見てたので、このタイミングでというのはすごく悩む材料でした。タイガースという、監督という責任の重いところで、そういうとこで悩みました」

 金本前監督の電撃的な“事実上の解任”が11日のことだ。最下位に沈んだチームの低迷と合わせて、激震の猛虎で火中の栗を拾う。「このタイミングで」と吐露した思いに偽りはない。ただ、チームが苦しい状況だからこそ、力になりたい。助けたい。タイガース愛による「男気」で、受諾の決断に至った。

 今後は、近日中に第34代阪神監督として就任会見を行う予定だ。その場で、今後の方向性や、目指すべき理想のチーム像などが明かされることになる。混迷のタイガースを救う一筋の光。矢野燿大が新たな一歩を踏み出した。

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