大山“14度目の挑戦”で決勝打ァ!八回満塁で期待に応えた 金本監督采配ズバリ

 「阪神3-2広島」(16日、京セラドーム大阪)

 何度も振り込んだ。懸命に、ひたむきに。自分自身を、首脳陣を信じて。練習前からの早出特打に、2軍戦での親子ゲーム…。積み上げた努力は、阪神・大山を裏切らなかった。「打ったときのことは覚えていないです」。値千金の決勝打で、今季初の4カード連続勝ち越しを決めた。

 出番はここぞの場面で与えられた。八回無死満塁で代打コール。中谷が懸命の内野安打、鳥谷の送りバントが相手のミスを誘い、梅野がファウルで粘っての四球。仲間がつないで、導いてくれた打席だった。振り返るのは5球目。三塁線への鋭い打球は、ファウルとなり三走・中谷を直撃。「あれで緊張がとけたと思う」。珍事にも表情を緩めず、集中力を切らさなかった。

 迎えた勝負の6球目。151キロの高めに浮いた直球を狙う。フルスイングではじき返すと、白球は大山のこれまでの悔しさを乗せ中前へ静かに弾んだ。大歓声の中、三走・中谷が生還。試合を決定づける一打となった。

 14度目の挑戦だった。今季満塁時は、この試合前までで13打数無安打。勝負どころで結果を出せておらず、この日も“代打の神様”を襲名する原口か…と思った矢先の起用だった。「送り出してもらったからには、それに応えないといけない。集中していきました」。任せてくれた首脳陣の思い。その意味をしっかりと受け止め、強さに変えた。

 今季不振にあえぐ大卒2年目の壁。巨人・吉川尚や中日・京田、DeNA・浜口…。チームは違えど、大学ジャパンで共に戦った“同期”たちとは連絡を取り合い、励まし合ってきた。「苦しいけど、踏ん張りどきだよな」。メールに込められる仲間たちとの思い。しのぎを削り合ってきただけに、その言葉は誰かを救い、そして何度も救われてきた。

 「勝つしかない。チームに貢献できるように頑張りたい」

 力を込めたお立ち台。悩める23歳に、虎党の声援は優しかった。ヒーローインタビューが終わってもなお、鳴りやまない『頑張れ』のエール。大きく渦巻く声援の真ん中で、ようやく笑顔を見せた大山がいた。

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