【金本阪神検証】不振藤浪の涙が来季への光に

 「検証・金本阪神3年目のVへ向けて」

 誤算、ですか…。18日。オーナーへのシーズン報告後、会見に臨んだ金本監督は言葉を詰まらせた。助っ人野手の不在を嘆き、「あえて」と前置きした上で、先発投手2人を名指しで“批判”した。

 「藤浪、岩貞ですね。この2人が最低2桁は勝ってくれるものと計算していた。来年奮起してもらって。今年の分も来年、悔しさをぶつけて欲しいです」

 【1】課題      

 期待の裏返し故の名指しだが、計算が狂ったのは事実だった。昨季10勝の岩貞が5勝、藤浪は3勝に終わった。左右のエース候補として期待された2人の低迷。特に藤浪は苦しい1年となった。今季初登板の4月4日・ヤクルト戦(京セラドーム)。畠山への死球から乱闘騒ぎになった。

 内角球がスッポ抜けたが、9四死球の大乱調。以降は3戦連続で勝利したが、四死球による不安定さは改善されなかった。5月27日には5年目にして初めて、故障以外で2軍落ちを経験した。首脳陣からの通告に、藤浪は悔し涙を流したという。初めて経験する無期限の再調整だった。

 涙を流した藤浪の代わりに、首脳陣は涙をのんだ。ローテーションのやりくりも難しい状況。それでも香田投手コーチは「生半可な気持ちで落としたわけじゃないから」とし、ゼロからの再出発を求めた。能見らが「本音はこっちとしては早く帰ってきて欲しい」と話しながら、再昇格は8月16日の広島戦(京セラドーム)だった。

 【2】収穫      

 復帰登板が広島戦だったように、再昇格後は“容赦”なかった。広島、巨人に2度ずつの登板。金本監督は「彼の人生を左右すると言えばオーバーかもしれないけど、僕はそれぐらいの目で見たい」とも話した。重圧を掛け続けながら、CSファーストS第3戦。14日にみやざきフェニックス・リーグから緊急帰阪し、15日に1軍合流させた。登録即、中継ぎ登板で2回1安打無失点。敗戦後、香田投手コーチは言った。

 「何とか彼をチームの一員として投げさせたい気持ちがあった。そういう意味では結果が出てよかったです」

 【3】今後      

 昨季のシーズン4位から、2位でフィニッシュ。大躍進の陰に中継ぎ陣の尽力は欠かせなかった。チーム防御率3・29はリーグトップ。78勝のうちリリーフで勝利した試合は31勝ある。桑原、マテオ、ドリスと続く勝利の方程式に高橋、岩崎を加えた5投手が60試合以上に登板。プロ野球史上初の記録で、救援防御率2・64もリーグトップの数字だった。

 マテオ、ドリスの残留は決定的。他の救援投手陣も十分、計算できるメドは立っている。盤石の中継ぎに、藤浪、岩貞らの復活が加われば…。今季最終戦で残した右腕の28球は、来季に向けた希望でもある。涙を流した藤浪の苦悩、首脳陣の我慢は光になった。指揮官は言う。「先発投手が頑張ってくれたら、広島とは十分に戦えると思いますね」-と。

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