糸井、プロ初サヨナラ弾 自力V復活「やりました~」
「阪神4-3ヤクルト」(30日、甲子園球場)
阪神が今季6度目のサヨナラ勝ち。3-3で迎えた延長十回、2死走者なしから糸井嘉男外野手(36)が右中間へ自身プロ初のサヨナラ弾を放った。大山悠輔内野手(22)が2安打3打点の活躍で気を吐き、最後にベテランの一振りで勝負を決めた。チームは連勝で自力優勝の可能性が復活した。
大興奮に包まれる甲子園のど真ん中で、糸井スマイルがはじけた。チーム全員でつかんだ格別の勝利。金本監督とがっちり握手を交わすと、思いもよらぬメッセージを送られた。「これがスーパーベジータか!」。プロ14年目で初のサヨナラホームラン。誇り高き虎柄に染まるサイヤ人が、聖地で覚醒した。
「やりましたー。最高です!」
3-3の延長十回2死。昨年までの同僚・近藤の148キロ直球を豪快に振り抜いた。白球は高々と舞い上がり、そのまま右中間スタンドへ。26日・巨人戦(東京ドーム)以来、3試合ぶりの12号。「しっかり強くスイングした」という一撃が、今季6度目のサヨナラ勝ちへいざなった。
金本監督も「ものすごい当たりでしたね。どこまで飛ばすのかというくらい」と度肝を抜かれた一発だ。初回には二塁内野安打で出塁し、大山の左前適時打で先制のホームを駆け抜けた。右脇腹の筋挫傷からスタメン復帰後、11試合連続安打と快音は止まらない。「めっちゃ興奮していますね」。積み上げてきた努力の結晶が、土壇場の勝負強さを生む。
野手転向した日本ハム時代。糸井は、当時の福良2軍監督(現オリックス監督)の下で一から野球を学んだ。試合中のベンチでは、指揮官の目の前が“指定席”。「よしおの席」という張り紙が張られることもあった。
「僕の場合、1打席1打席が修正なので」
今や、日本球界を代表するスラッガー。だが、その道のりはたゆまぬ鍛錬の連続によって作られた。「この甲子園でサヨナラホームランを打てて、もう幸せです」。文句なしのヒーローは、歓喜に揺れるスタンドを見て言葉を紡いだ。打って、打って、打ちまくる。戦いは、終わらない。
「一戦必勝、それだけでやっているので」
劇的な幕切れの後、再び自力Vの可能性がよみがえった。聖地には秋風が吹き始める。シーズンは残り26試合。頼れる超人の背中に引っ張られ、金本タイガースは進撃する。