福留、激走!貧打の猛虎に気合注入

 「阪神4-3中日」(2日、京セラ)

 ここ一番、やはり頼りになる男だ。巧打、激走‐。阪神・福留の闘志に満ちた背中が、貧打にあえいだ猛虎をよみがえらせた。

 開幕カードは2戦目以降、2試合連続で屈辱のゼロ封負け。この日も、序盤の好機を逃し、相手に先制点を許すなど不穏な空気は漂っていた。「別に、特に気にはしていない」と、事もなげに話した福留。だが、チームの主軸としての強い責任感が、道を切り開いた。

 1点を追う四回無死二、三塁から、ブラッドリーの低めのスライダーを中前へはじき返した。技ありの同点打だ。「トリ(鳥谷)と良太がつないでくれた。何とかしたいと思った」。実に23イニングぶりの得点を、チームにもたらした。

 今度は足でも魅せる。1死一、三塁となり、藤井彰の打球は右翼への浅い飛球。次は投手の打順だ。「あそこは勝負」と三走・福留はタッチアップのスタートを切る。クロスプレーのタイミングだったが、その勇気が勝ち越しの生還をつかみ取った。

 今季、和田監督が掲げる「走塁革命」は、チームに浸透しつつある。「こう着している試合は動かないといけない」と指揮官。同点とされた直後の六回でも、新しい猛虎打線の形をベテラン・福留が体現した。

 1死から四球を選んで出塁すると、続くマートンの打球は右中間ではねた。打球を中堅・大島が回り込んで捕球。「あれだけ間をはっきり抜けたんだから、判断は難しくない。あとは走れるか、走れないか」。快音とともに迷わずスタートを切って加速。三塁もけり、見事に本塁まで陥れた。

 古巣・中日相手に見せた躍動。「相手チームの1つ」としながら、「向こうも嫌だなと思ってくれる」と次をにらんだ走塁でもあった。

 サヨナラ打の西岡がお立ち台で「年なのに、よう走りました」と言えば、伝え聞いた福留も「彼らしく、おいしいところ、しっかり持って行ったな」と笑う。貧打に泣いた空気はかけらも残っていない。「もうちょっと、楽にかえして欲しいね」。その顔に充実感が浮かんだ。

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