稀勢、Vも来場所綱とりもあきらめん

 「大相撲夏場所14日目」(25日、両国国技館)

 大関稀勢の里は横綱白鵬との全勝対決に敗れ、悲願の初優勝が遠のいた。左がっぷり四つで組み合い、攻防の末に最後はすくい投げで裏返しにされた。この好勝負を受け、北の湖理事長(60)=元横綱=は、稀勢の里が千秋楽の琴奨菊戦を制して14勝すれば、優勝を逃しても7月の名古屋場所に綱とりがかかると明言した。なりふり構わず全勝を守った白鵬は、朝青龍と並ぶ史上3位、25度目の優勝へ王手をかけた。千秋楽で稀勢の里が勝ち、白鵬が日馬富士に敗れれば、優勝決定戦に勝負は持ち越す。

 稀勢の里が一歩及ばなかった。最初の仕切りで立つ気を見せず、2度目の仕切りで立つと変化気味に左に動いた白鵬。それでも左をねじこんでがっぷり四つにし、左右に振られても愚直に前進した。最後は腰高になったスキを突かれ、すくい投げで裏返しにされた。

 背中、大銀杏(おおいちょう)に土がついたまま、顔を上げて花道を引き揚げた。満員の1万605人の観衆から、好勝負をたたえる大拍手を全身に浴びた。「切り替えて明日です。負けは負け。どこかに焦りがあったんですかね」と潔かった。立ち合いへの質問には答えなかった。

 悲願の初賜杯であり、2006年初場所の栃東以来となる日本出身力士の優勝は遠のいた。それでも、初の綱とりがはっきりと見えた。

 北の湖理事長(元横綱)は「白鵬も余裕はなかった」と成長を認めた上で、「13勝と14勝では重みが違う。『優勝に準ずる成績』で横綱に上がっている人もいます。明日が大事」と期待を寄せた。稀勢の里が14勝すれば、来場所が綱とりになることを明言した。

 15歳の時だった。入門の覚悟を抱いて鳴戸部屋を訪ねると、先代鳴戸親方(元横綱隆の里)に「横綱の器だ」と絶賛された。その先代の禁を破って出稽古を行い、立ち合いを改造し、そして自信をみなぎらせている今場所。現師匠の鳴戸親方(元幕内隆の鶴)も「本当に一生懸命頑張ってきた。負けても、また頑張ればいい」と前向きだ。

 理事長の発言が耳に届いても「目の前の相撲に勝つことが一番。積み重ねですから」と平静を装った稀勢の里。千秋楽も大一番が続く。

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