熊本地震で倒れた仏壇の下に猫が!45日間も飲まず食わずだったが…懸命の救出に成功→奇跡の回復、今は母猫と3匹一緒に暮らす
最大震度7を記録した『令和8年熊本地震』発生から3か月余り。被災地には今もなお、迷子になったペットを探している方たちがいます。自宅が倒壊するなど捜索に注力できる状況にないご家族に代わって現地で活動を続けているのは、兵庫・尼崎を拠点に活動している動物愛護団体『つかねこ』代表であり、『一般社団法人 V-Cats JAPAN』の共同代表も務める安部壮剛(もりまさ)氏。V-Cats JAPANは民間の愛護団体と獣医師、学術機関が連携して設立された団体で、災害発生時には被災地へいち早く入り、捜索依頼を受けたペットの保護・一時預かり・家族の元へ返還という活動をする、いわば“動物版DMAT”のような存在です。
2026年7月28日、激しい揺れによって倒壊した家屋から、猫のきょうだい(たまちゃん&きなこちゃん)と母猫(もちちゃん)の3匹が行方不明となりました。幸い、たまちゃんは家の中で見つかり、もちちゃんも屋外に設置したカメラに映ってくれましたが、きなこちゃんだけは全く手掛かりがありませんでした。
「屋根裏や床下から声がするということで、カメラの設置はもちろん、屋根裏に砂を撒いて足跡を確認しましたが、猫よりも大きな野生動物と思われる足跡しか見当たらず、床下も雨で泥水が溜まっていたため、一旦、外中心の捜索に切り替えました」(安部氏)
大きな進展があったのは9月に入ってからのこと。ご家族から「仏壇の下にきなこがいる!」と連絡が入ったのです。地震で倒れた仏壇本体はすでに回収されていましたが、下にあった重い木製の棚は残っていて、その棚と床のわずかな隙間に入り込んでしまったようです。
「ガリガリという爪の音に気づいたご家族が目いっぱいの力で棚を少しだけ動かすと、隙間から小さな手が伸びてきたそうです。すぐにでも助け出したかったでしょうが、びっくりさせると暴れて逃げる可能性があるので、我々が到着するまで待ってもらい、網やベニヤ板で周りを囲んで逃げ道を塞いでから、棚を慎重に動かして捕獲網で保護しました」(安部氏)
首の後ろをつまんでも皮膚が戻らず、脱水率99%という深刻な状態だったきなこちゃん。目はうつろで自力で立つこともできず、神経症状が出ていました。獣医師からは後遺症が残る可能性を指摘されましたが、約1週間で驚異的な回復を見せたと言います。
「きょうだい猫のたまちゃんに会えば元気が出るのではないかと、ご家族が脱走防止対策をした部屋を用意してくださったので、早めに退院させて家に帰らせてあげたら、さらに回復が進みました」(安部氏)
■被災者を絶望の淵から救うペットレスキュー
一方、外に逃げ出していた母猫のもちちゃんは警戒心が強く、なかなか捕獲器に入ってくれませんでした。そこで、2週間は捕獲器を作動させずにフードだけを置き、慣れさせる作戦に。ただ、最後は捕獲器ではなく、屋根の上にいたもちちゃんにご家族がハシゴを掛けて近づき、おやつを手にやさしく呼び掛けると、抱き上げて保護することができました。
こうして、母猫もちちゃんときょうだい猫たまちゃんときなこちゃんは、そろってご家族のもとへ。現在、ご家族は避難用テントと親族の家を行き来しながら、倒壊を免れた部屋に脱走防止対策を施して愛猫たちと共に暮らしています。
「災害現場でのペット捜索には多くの困難が伴います。長期に渡ると、周囲から『人間が大変なときにいつまで探しているのか』『もう諦めなさい』といった厳しい言葉を掛けられ精神的に追い詰められる飼い主さんも少なくありません。また、地震発生直後には避難する車が集中し、地域猫含め逃げ出した猫たちが事故に巻き込まれるという悲しい現実もありました。だからこそ、きなこちゃんたちを無事に保護できたときは、心労で何度も倒れて入退院を繰り返していたご家族が元気になってくれたことが何よりうれしかったですね」(安部氏)
被災地でのペットレスキューは、単に動物の命を救うだけでなく、傷ついたご家族の心に寄り添い、絶望から立ち上がるきっかけを作る活動でもあるのです。
(まいどなニュース特約・岡部 充代)
