「読書が流行っていると聞いたけど…」韓国の野外図書館イベント 川辺で本を読む若者たちで大盛況 「日本でもしてほしい」
韓国における読書の流行がSNS上で大きな注目を集めている。
「韓国では読書が流行っていると聞いてたけど、本当っぽい。清渓川ではパブリック野外図書館が催されていて、若者たちで賑わっていた」
とその模様を紹介したのはキウ井さん(@setonaikais)。
友人同士、カップルなど読書する数多の若者で埋め尽くされたソウル・清渓川の川べり。
これはソウル市が運営する「ソウル野外図書館(서울야외도서관)」のイベント「本を読む清らかな川辺(책읽는 맑은냇가)」。2024年から春・秋に定期開催されており、参加者は貸出手続きなしに本かごに入れた約2000冊の本が無料で楽しめるということだ。
キウ井さんに話を聞いた。
ーーこの光景をご覧になった経緯をお聞かせください。
キウ井:ACLE(アジア・チャンピオンズリーグ・エリート)に出場する京都サンガF.C.の試合を現地観戦するため、9月12日から韓国を訪問していました。以前から韓国をしっかり歩いてみたいと思っていたことから、観光を兼ねての訪韓でした。
その日は韓国到着後、そのままソウルの中心部を街歩きしていて、18時半頃に清渓川に差し掛かりました。川辺で多くの人が座ってくつろいでいる姿が目に入り、イベントをやっていることを知りました。
ーー読書する人々をご覧になってどう思われましたか?
キウ井:すごく心地良さそうだなと思いました。夕暮れ時で日差しも穏やかで、気候がちょうど良かったのもあると思います。最初は「本なんて読みたい人が自由に読めばいいのでは」とも少し思いましたが、イベント化して推進することに意味があるのかと思いなおしまして、そこに韓国社会のホスピタリティと余裕のようなものを感じました。
ーーご投稿に対し大きな反響がありました。
キウ井:驚きました。海外旅行中に見た興味深いものはその都度Xに投稿してきたのですが、今まではたくさんのリアクションをもらうことはほとんどありませんでした。「みんなどうせグルメにしか興味がないのだろう。他にもっと面白いものがあるのに」と思っていたところにこの反響でした。
引用ポストやリプライはあまり読めていませんが、こういったイベントがあることがうらやましいという声が多く、それは私も同じ気持ちで、感覚が共有できたのはうれしく思います。
リアクションの中にはどことなくネガティブな反応もあったかもしれないのですが、その気持ちも分からなくもないなとも思いました。「どうせファッションでやっているに違いない」という反応もある意味正しく、「本なんてイベントじゃなくて個々人が好き好きに勝手に読めばいいではないか」という意見もその通りだと思います。
ただ、こういったイベントがあることで、都市における若者の休日の時間の過ごし方の中に「川辺で本を読んで過ごす」という選択肢が出てくるように思います。私も多少は本を読みますが、やはりこういった非日常の場での読書は自宅のそれと違って何か充実した時間を過ごしたという気になれそうです。
一番近くかつ日本人に一番感性が似ていると思われている韓国で、日本ではあまり見ない光景が広がっていたことが、多くの人に面白いと思ってもらえたのかなと思います。
日本でも真似できそうですし、実際探せばあちこちでやっていそうな気もしますが、たとえば宮下公園にしても日比谷公園にしても、パブリックな読書会を開けそうな東京の公園はどこも巨大資本が投じられてお金の匂いがする場になってしまっています。また意地悪ベンチがあったり、誰かが排除されて成り立っているという居心地の悪さも漂っているので、やはりそういうところでは心地よく本は読めないかなと思います。
もしかすると韓国でも同じような事情はあるのかもしれませんが、東京はまずパブリックな場をもっと「誰にとっても風通しよく」「誰にとっても心地よく」することを目指してほしいですし、その意味でソウルは先進的だぞというニュアンスを無意識に投稿に込めていたかもしれません。おそらくこの文脈も、多くの人が感じ取ってくれたのではないかと思います。
◇ ◇
SNSユーザーたちから
「以前から韓国は読書サークルや詩作の会等が草の根レベルで根付いているのでは?韓国映画の中でよく出てきているのでその印象。ハン・ガン氏のノーベル賞や、文学性の高いイ・チャンドン監督作品が今回もヴェネチア銀獅子賞を受賞したし、文化レベルは完全に日本よりも勝ってる」
「数年前からヨーロッパでは若い子達の間で読書がめちゃくちゃ流行ってるんですよ。多分その流れが韓国にも広がってるんでしょうね」
「若い人に読書が流行るのは素晴らしいことだなあ。日本でも追従してほしいね」
「読書そのものが流行というよりは、読書する自分を展示することが流行」※韓国のXユーザーからのコメント
「一過性ブーム・ファッションだとしても、ここから残る人数を思うと素晴らしい」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。
統計で見ると韓国でも日本同様に読書離れは確実に進んでいる。しかし2024年頃から若い世代の間で、読書を創造的でおしゃれな行為とみなす「テキストヒップ(텍스트 힙)」というブームが発生。今回話題になったイベントもそれを敏感にとらえたものと言えるようだ。
読者のみなさんは最近、本を手に取って読書する機会はあるだろうか?
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
