車のタイミングベルト、交換時期の目安は? 放置するとエンジンに深刻なダメージが…仕組みや切れる前兆を知ろう【整備士が解説】

エンジンにとって重要な部品のひとつであるタイミングベルトは、定期的に交換しなければならない消耗品です。タイミングベルトの交換は、高額なメンテナンス費用のかかるイメージもあることから、交換時期を悩まれる人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、これまでも多くのタイミングベルト交換を実際におこなってきた現役の整備士が、適切な交換時期についてお伝えします。

■タイミングベルトとは

タイミングベルトはエンジン部品の一部です。

2000年代に入ってからはタイミングチェーンに置き換わることで、徐々にその姿を消していきました。国産の乗用車では、いま現在新車販売されている車でタイミングベルトの車はありません。

一方で輸入車は今でもタイミングベルトを採用している車も見受けられます。タイミングベルトは消耗品なので定期的な交換が必要です。

▽タイミングベルトの持つ役割

タイミングベルトはエンジンが動くために必要なカムシャフトとクランクシャフトの回転タイミングがズレないように一定に合わせる役割があります。

タイミングベルトを採用している車は、タイミングベルトでウォーターポンプを駆動しているケースがほとんどです。

ウォーターポンプは、エンジン冷却水を循環させるためのポンプの役割を持っている、非常に重要な部品です。

また、クランクシャフトと並行してカウンタシャフトと呼ばれる、不快なエンジン振動を打ち消す役割のある部品が設置されているエンジンがあります。このカウンタシャフトをタイミングベルトで駆動しているものもあります。

▽タイミングベルトの仕組み

エンジンはシリンダーと呼ばれる筒の中でピストンが上下運動しています。ピストンはクランクシャフトに取り付けられており、ピストンの上下運動はクランクシャフトの回転運動に変換され、車が走るための動力となります。

シリンダー上部には空気(混合気)を吸うバルブと、燃焼後の排気ガスが出ていくバルブが付いています。そしてバルブはカムシャフトと呼ばれる部品の回転運動で駆動され、ピストンはクランクシャフトと呼ばれる回転する部品の軸に取り付けられ、上下運動します。

このカムシャフトとクランクシャフトの先端にはプーリー(歯車)が装着されています。このプーリーの歯車に噛み合うかたちでタイミングベルトが取り付けられており、常に同じタイミングでそれぞれの部品が回転するようになっています。

■タイミングベルトの交換時期

タイミングベルトの交換時期は、国産車の場合で「走行距離10万km」が目安です。

なお、タイミングベルトはゴム部品のため、年数が経過すると劣化が進むので「走行距離10万kmまたは10年のいずれか早いほう」とされることもあります。

国産車ほど部品に耐久性や信頼性の見込めない輸入車の場合だと、「走行距離5万kmまたは5年ごと」を目安に交換を推奨されることもあります。

わたしが実際に整備したことがある輸入車で、初回車検(3年)3万km走行の車で、タイミングベルトの劣化が著しく、このままでは次回の車検(5年)まで保たずに切れてしまうだろうという事例がありました。

これはモータースポーツ(車両競技)を頻繁におこなっているという特殊な使用環境に起因していたのですが、交換時期の目安はあくまで目安であり、車の使用状況や保管状況によりタイミングベルトの劣化の進捗は大きく異なるわかりやすい事例だと言えます。

■タイミングベルトが切れる前兆はある?

運転している際にタイミングベルトが切れる前兆や違和感はありません。切れるときは、あるとき突然やってきます。

法定12カ月点検や車検のときに、プロの整備士にタイミングベルトの劣化状態を点検してもらい、その状態を把握することくらいしかできません。

■タイミングベルトではなく、タイミングチェーンなら交換は不要?

現在、ほとんどの車で採用されているタイミングチェーンは基本的にメンテナンスフリーとされており交換は不要です。

ただし、オイルのメンテナンス状況が悪いといった要因により、「タイミングチェーンが伸びてしまいチェックランプが点灯する」という事例が稀にあります。この場合はタイミングチェーン部品の交換や修理が必要となります。

タイミングチェーンの交換はタイミングベルトの交換と比較すると費用が高くなる傾向にあるので、エンジンオイルの交換は適切なオイルを使用して、定期的に確実におこなうようにしておきましょう。

■タイミングベルトとタイミングチェーンの見分け方

タイミングベルトの車は国産車であれば、エンジンの見えやすいところに「タイミングベルトであることと交換目安時期」を示すラベルが貼ってある場合があります。

このラベルが無く、どちらか分からないときの見分け方をご紹介します。

▽タイミングベルトのある場所

タイミングベルトはエンジンのフロント側に装着されています。このフロント側とは、車のフロント側という意味ではないので注意が必要です。

エンジンのフロント側は、基本的にオルタネーターやエアコンコンプレッサーなどの補機類が備わっており、それらを駆動するためのベルトが装着されています。

▽タイミングベルトカバーに注目

タイミングベルトは剥き出しではなく、カバーで覆われています。多くの車で、タイミングベルトのカバーはプラスチック製のものが採用されています。

一方でタイミングチェーンのエンジンはエンジン本体と同じアルミ素材などであることが多く、まずはこの点で判別できることがほとんどです。

▽稀にプロでも見分けが難しい車がある

タイミングベルトかタイミングチェーンかは、整備士でも上記で解説した見分け方を元にする人が多いです。しかし、この法則に当てはまらない車が稀にあります。

例を挙げると、整備士の中でもよく話題に上がるのが「ホンダ ライフ」のエンジンです。

タイミングベルトのカバーがプラスチック製ではなくアルミ製なので、タイミングチェーン式のエンジンと見間違える外観をしています。

また、フランス車を中心に湿式タイプのタイミングベルトを採用した珍しいエンジンがあります。

これはタイミングベルトがエンジンオイルに浸かっており、その構造上から先ほど挙げた「ホンダ ライフ」と同様にエンジンの外観上はタイミングチェーン式のエンジンと見分けをつけることが難しくなっています。

▽取扱説明書を見たりエンジン型式から調べる

エンジンルーム内の見た目で見分けが難しい場合は、車載の取扱説明書にあるサービスデータにタイミングベルトかタイミングチェーンか記載のあることがあります。

それでも分からない場合には、車検証に記載のエンジン型式からネットで調べたり、ディーラーなどに問い合わせてみましょう。

■整備士のまとめ

タイミングベルトは切れる前兆や劣化を体感できるものではないので、交換目安時期を参考にして交換をするようにしましょう。

交換せずに放置し続けると、最悪の場合タイミングベルトが切れることもあり、エンジンが深刻なダメージを受けて高額な修理が必要になってしまいます。

(まいどなニュース/norico)

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