居酒屋前ですり寄って来た、ガリガリの野良猫 「失明するかも」という危機も…腕枕で眠る甘えん坊に
2024年、Xユーザーのまりてつさん(@marie_mamachan)のもとに、1匹の野良猫との思いがけない出会いが訪れました。その猫は、現在7歳になる元保護猫の「てつお」くん(男の子)です。
いつも通っていた居酒屋の前で、夫の足元にすり寄ってきたというガリガリの猫。夫はその姿を見て放っておけず、「どうしても保護したい」と電話をかけてきたといいます。
「夫から連絡を受けましたが、先住猫のマリーがいることもあり、本当に迷いました。でも、このまま外に置いておくわけにはいかないと思ったんです。それで、すぐに迎えに行って保護しました」
てつおくんは当時、推定3歳。その日から、家族の新たな物語が始まりました。
■“シャーッ!”にかいま見えた過酷な外での暮らし
てつおくんが家にやってきた日は、準備がまったく整っていなかったといいます。
「猫ベッドもなかったので、段ボールに猫砂を入れて簡易トイレをつくって…。夫の部屋で一晩過ごしてもらいました」
てつおくんは、新しい家に入り、ふと鏡に映った自分の姿に驚きます。
「シャーッと威嚇していました。小さな体で懸命に身を守ろうとしているように見えて切なくてなってきて…。夫の枕で寝転んでいる姿を見ながら、『今までどんな場所で寝ていたのかな』と思ったら、自然と涙が出てしまいました」
外で生きていた日々の苦労を思うと、胸が締めつけられるような気持ちになったといいます。
「きっと過酷な暮らしだったんだろうと思います。でも、てつおはもともと人間への恐怖心がなかったので、我が家での生活にはすぐに慣れてくれました」
先住猫のマリーちゃんとの関係もゆっくりと時間をかけて育てていったそうです。
「最初は別居生活をさせて、少しずつお互いの存在を認識させるようにしました」
■甘えん坊全開! 帰宅後の“スリスリお迎え”が日課に
現在7歳となったてつおくん。体は大きくなっても、心は子猫のままのようです。
「仕事から帰ると、必ず玄関まで迎えに来てくれてスリスリ。そのまま甘えん坊モードに突入するので、家事が全然進まないこともあります(笑)」
家族の誰にでも甘えるという、社交的でかわいらしい性格は健在です。
「誰かが座れば膝に乗ってくるし、誰かが歩けば足元にスリスリ。ゴロンと横になって『撫でて~』と甘えてくる。本当にかわいい子です」
そんなてつおくんには、大きな試練もありました。
「猫ヘルペスとほかの病気の合併症で、両目が見えなくなってしまうかもしれない危機がありました。でも、獣医さんの治療のおかげで完治して、今では澄んだきれいな瞳がチャームポイントです」
そして今、毎晩の決まりごとがあります。
「てつおは、腕枕で寝るのが大好き。まるで赤ちゃんみたいにすやすや寝てくれるんです」
■止まらない“好き”の気持ち 見守り続けたふたりの距離
実は、てつおくんの“好き”は、ちょっぴり激しすぎるのが悩みの種です。
「マリーのことが大好きで、いつもそばにいたい子なんです。でも、加減がわからなくて追いかけちゃったり、毛づくろいしながら噛んじゃったりするので…」
そんなふたりの関係を守るため、家族は今も生活スタイルを工夫しています。
「私たちが不在のときは、別々の部屋で過ごしてもらうようにしています。人がいるときだけ一緒の空間にして、目を離さないように見守っています」
その暮らしにも、猫たちはすっかり慣れて、今では落ち着いた時間を過ごせているそうです。
■「いてくれるだけでいい」…感謝と愛を込めて伝えたいこと
てつおくんとマリーちゃん。ふたりがいてくれることで、家族の時間はかけがえのないものになっています。
「なんの見返りも求めず、まっすぐに接してくれる。そんなふたりに、私たち人間は本当にたくさんのことを教わってきました」
日々の何気ない瞬間が、飼い主さんにとっては大きな幸せです。
「ご飯を食べてくれるだけでうれしいし、ゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくれる姿を見られるだけで、心があたたかくなります」
最後に、てつおくんに贈るメッセージを伺いました。
「『生きていてくれてありがとう』『そばにいてくれてありがとう』ーーこれからもずっとそう伝えたいです。長生きして、一緒にのんびり過ごしていけたらと思います」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)





