鍵のかかった物置から聞こえた子猫の鳴き声、猫風邪で目も鼻もふさがり…ペットロスの私を救ってくれた出会い

元保護猫「サラ」ちゃん(女の子)と、Xユーザーのにゃさん(@0502_sara)が出会ったのは、2019年5月2日の夜のこと。飼い主さんが仕事を終えて帰宅し、くつろいでいたとき、突如、外から子猫の切実な鳴き声が聞こえてきました。

すぐに外へ出て探し始めたものの、姿は見えずーーあたりを歩き回るうちに、近所の人が2人、手伝ってくれることに。そして30分以上たった頃、その一方の近所の人の家にあるスチール物置から声がすることがわかりました。

「物置の下を懐中電灯で照らして覗いたのですが見つからず…。物置には鍵がかかっていて、すぐにそのお宅の方が鍵を取りに行き、扉を開けてくれました。すると、ひとりぼっちで鳴いている子猫を発見。それがサラです」

鍵を開けたのは1カ月以上前とのこと。どこから入り、どう過ごしていたのかは今も謎のまま--。

「子猫がどうやって入ったのか、その場にいた全員が驚きました。あの2人のご近所さんが一緒に探してくれたからこそ、サラと出会えました」

その日から、サラちゃんは家族として迎えられることになりました。

■猫風邪で低体温にーー必死の看病と離乳の苦労

保護された時のサラちゃんは、まだ生後3週間ほど。体はわずか260グラムしかなく、通常よりもはるかに低い33度という体温。目は目やにで塞がり、鼻づまりで息も苦しそうにしていたといいます。

「猫風邪をひいて衰弱し、母猫に置いていかれたのだろうと病院の先生は話していました。物置にいたのは、せめて天敵から守ろうとした母猫なりの最期の愛情だったのかもしれない、と思うと胸が締めつけられました」

それでも、保護から4日ほどたつと、よろよろと動けるように。ミルクも飲めるようになり、トイレもすぐに覚えたそうです。

「5月の終わり頃には、抱っこした時に手の中に体温を感じられるようになりました」

ただ、離乳にはかなりの時間がかかったとか。

「歯が生えそろっても哺乳瓶を離さず、乳首を噛んでしまうので、新生児用の乳首の穴を広げて対応していました。お皿やスプーンで飲んでくれるようになるまで、1カ月近くいろいろ試しました。今となっては、いい思い出です」

■これぞ、三毛猫! 天真爛漫なサラちゃんとの日々

6歳を迎えた今のサラちゃんは、自分のペースを大切にする気質がしっかり根付いているようです。

「私が夜更かししていると『寝ようよ~』と呼びに来たり、お風呂に入っていると脱衣かごで待っていたり、かわいらしい一面もたくさんあります。でも、抱っこも膝乗りも苦手で、寝るときも布団には入らず、布団の上で寝ています。まさに三毛猫らしい性格だなと思います」

また、好奇心旺盛な一面も健在です。

「遊びたい時には『遊んで~!』と近づいてきたり、猫じゃらしの棒をくわえて2階から持ってきたりします。でんぐり返ししながらおもちゃで遊んでいる動画をアップしたら、フォロワーさんから『すごくかわいい!』とコメントをいただいて、とても嬉しかったです」

■ペットロスの苦しみを越えて…名前に込めた特別な想い

サラちゃんと出会う5年前、飼い主さんは19歳で旅立った愛猫を看取り、その深い喪失感から、しばらくのあいだペットロスに苦しんでいたといいます。

「また猫と暮らしたいという思いはありましたが、別れの辛さを思い出すたびに断念していたんです。でも6年前のあの日、あの状況では『保護するしかない!』という気持ちが自然に湧き上がって…。サラには何度も『うちに来てくれてありがとう』と伝えています」

その日から始まった新たな日々は、まるで奇跡のようでしたーー。

「久しぶりの猫との暮らしでテンションが上がり、『この子はうちのお姫様だ!』と思ったほどです。それで名前を考えていたとき、親友が『サラはヘブライ語で王女っていう意味らしいよ』と教えてくれました」

その言葉がぴったりだと思い、サラちゃんと命名。

「これからも、うちの王女として元気に過ごしてほしいです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

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